全3846文字
PR

最大の目的はパナソニックにない「発想」「価値観」

 「パナソニックの照明器具のように何万台も売れる製品というより、“新しい光の楽しみ方”というカルチャーを伝えるような売り方を考えている」――同製品の今後の展開について語る、100BANCHの発起人でオーガナイザーを務める則武里恵氏(パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室)の言葉は、パナソニックの危機感の表れでもある。いまや、ペンダントライトはIKEAで1000円程度でも購入できる。過去からの延長線の先には、し烈な価格競争しかない。

パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室 則武里恵氏
パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室 則武里恵氏
(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで同社が付加価値向上のきっかけとして期待するのが、新たな「発想」や「価値観」だ。RGB_Lightの例でいえば、光源をずらし、光の三原色の原理を利用して3方向に3色の影を作り出すという、その発想だ。技術的にはそれほど難しいことではない。むしろLED照明が一般に広がり始めた段階では、影が複数個できたり虹色に見えたりということはマイナス要素だった。長らく照明業界では、部品の組み合わせによりLED特有の光の指向性を打ち消すなど、既存の照明と比べて違和感が生じないようにすることが目標とされてきた。

 RGB_Lightのプレゼンを受けたパナソニック代表取締役社長の津賀一宏氏は「パナソニックの考え方ではできなかった製品だ」とコメントしたという。実際に同社の照明器具開発・生産に携わってきた中田公明氏(パナソニック マニュファクチャリングイノベーション本部 マニュファクチャリングソリューションセンター 所長)も「これまでは影を1つにしたい、色を均一にしたいとしか考えていなかった。技術的にはとてもシンプル。でも、その発想がなかった。今後の市場の反応によって、今まで思っていたものとは違う価値がある、ということを学んでいくことになると思う」と話す。

パナソニック マニュファクチャリングイノベーション本部 マニュファクチャリングソリューションセンター 所長 中田公明氏
パナソニック マニュファクチャリングイノベーション本部 マニュファクチャリングソリューションセンター 所長 中田公明氏
(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 RGB_Lightを発案したのは、照明器具と離れた領域で活躍するグラフィックデザイナー・アートディレクターの河野未彩氏だ。河野氏のように、メーカーでは生まれ得ない発想や価値観を持つ人材を、パナソニックは外部に求めている。アート・デザイン系の人材に着目するのは、直感に訴えかける発想を持つ場合が多いからだ。「この製品(RGB_Light)を海外の展示会に持っていくと、言葉を越えたプロダクトということがよく分かる。手をかざせば“Wonderful!”と盛り上がり、楽しい瞬間を提案できる。価値があると認めてもらえる」(則武氏)。