トヨタ自動車は2019年7月17日、車載電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と新エネルギー車(NEV)向け電池で包括提携したと発表した。CATLとの提携は、トヨタが車載電池の開発方針を転換したことを意味する。
トヨタは、CATLから電気自動車(EV)向けの電池を調達することを2019年6月に公表している(図1)。今回の提携発表は両社の取り組みを一歩進めるもので、開発の領域まで踏み込む。電池の供給だけでなく、新技術の開発やリユース・リサイクルなど幅広い分野での検討を始めた。
トヨタはこれまで、「一緒にやってきたパナソニックやプライムアースEVエナジー(PEVE)が母体(ホーム)」(同社副社長の寺師茂樹氏)との姿勢を貫いてきた。トヨタとパナソニックは車載用角型電池の開発・製造などを担う合弁会社を2020年末までに設立することで合意済みである。
今回、トヨタの“ホーム”の領域にCATLが侵入してきた格好だ。「電動車を普及させるためには、電池の安定的な供給はもとより発展進化が必要であると考えており、両社で体制を整え具体的な取り組みを進めていく」。今回の提携発表に際し、トヨタとCATLは共同でこのような声明を出した。
CATLの電池開発・供給力とトヨタの電動車および電池開発技術を持ち寄って共同開発を進めていくという。具体的には、(1)EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)などNEV向け電池の開発・供給、(2)電池システムの新技術開発、セルの品質向上、(3)電池のリユースとリサイクル、の3領域を共同で取り組む。
「我々は電池メーカーである」――。トヨタの寺師氏が自負するように、同社はEVの心臓部である電池へのこだわりは強い。特に、「劣化を抑制して電池を長寿命化する技術は世界トップレベル」(同社ZEVファクトリー部長の豊島浩二氏)と自信を隠さない(図2)。