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 連日、その影響や動向について報道が続いている「対韓輸出管理」。経済産業省安全保障貿易審査課が2019年7月1日に発表した、輸出貿易管理令の運用について一部を改正するという通達を指す(経済産業省のプレスリリース)。韓国に対する輸出管理を適切に実施するため、厳格な制度の運用を行うことを目的とする。主な改正点としては、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目を包括許可から個別許可へ切り替えることが挙げられている。

 半導体と共にこれらの輸出管理措置の影響を大きく受けるとされるFPD(Flat Panel Display、フラットパネルディスプレー)産業について、今回は考察していこう。

 まずは、対象品目の輸出令別表および貨物等省令の該当箇所を確認しよう。それぞれ以下の通りとなっている。なお、以下の1.~3.における輸出令および貨物等省令からの該当箇所の抜粋はテクノ・システム・リサーチが行った。


1. フッ化水素:輸出令別表第1の3の項(1)、貨物等省令第2条第1項第1号ヘ

軍用の化学製剤の原料となる物質として、次のいずれかに該当するもの又はこれらの物質を含む混合物であって、いずれかの物質の含有量が全重量の30パーセントを超えるもの
/ヘ フッ化水素

2. フッ化ポリイミド:輸出令別表第1の5の項(17)、貨物等省令第4条第14号ロ

フッ素化合物であって、次のいずれかに該当するもの
/ロ 結合フッ素の含有量が全重量の10パーセント以上のフッ化ポリイミド

3. レジスト :輸出令別表第1の7の項(19)、貨物等省令第6条第19号

レジストであって、次のいずれかに該当するもの又はそれを塗布した基板
(一) 15ナノメートル以上245ナノメートル未満の波長の光で使用することができるように設計したポジ型レジスト
(二) 1ナノメートル超15ナノメートル未満の波長の光で使用することができるように設計したレジスト

 上記3品目の輸出許可申請手続きの変更は、2019年7月4日から施行されている。輸出管理の対象外となるのは、

  • 物質の性質が前記項目の条件に満たない場合
  • 条件を満たしていても日本製でない場合

などで、日系企業の海外拠点や海外の合弁企業・協力企業で生産されるケースは対象外に含まれるもようであり、各社が“抜け道”を探しているとの報道もある。

 3品目のうち、まずレジストはFPDにとって実質的に対象外となる。今回の輸出管理は245nm未満の波長の光に向けたレジストを対象としているのに対し、FPDの生産工程で使用されるレジストは365nm以上の波長の光に対応するものであり、輸出管理基準には適合しないからだ。