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 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は2019年8月1日、バーコード決済「7pay」のサービスを2019年9月末に廃止すると発表した。今後は弁護士を中心とする検証チームを設けて「組織および意思決定等のガバナンス上の背景」(同社リリース)を検証し、原因究明および再発防止策の策定を進めるという。

 7payの開発を巡る意思決定やガバナンスを検証するうえで焦点の1つとなりそうなのが、7pay機能の開発途上で発生した仕様の変更である。以下、7payの開発プロジェクトで何が起こったのか、関係者への取材と同社会見で判明した事実などを基に時系列で振り返る。

発端はセブン-イレブンアプリの「好調」か

 セブン&アイHDが7payの開発に着手したのは1年半前の2018年2月に遡る。当初は単体のスマートフォンアプリとして提供する計画だった。要件定義では「2要素認証」の導入も検討していたという。

 クーポンなどを配布する販促用アプリ「セブン-イレブンアプリ」を同社がリニューアルしたのは、その4カ月後となる2018年6月だった。乃木坂46を起用したテレビCMやドリンク無料クーポンの大量配信といったキャンペーンの結果、アプリ利用者が急増。2018年12月末で797万ダウンロードを達成した。

 こうしたセブン-イレブンアプリの好調を受けての決定かは定かではないが、単体アプリとして開発が進んでいた7payについて、2018年12月に重要な仕様変更を下したという。7payの決済機能を、単体アプリの配信に先行してセブン-イレブンアプリに組み込むという内容だ。

 仕様変更によって決まった開発計画は以下の通りだ。まず2019年7月にセブン-イレブンアプリに7payの機能を組み込み、全国のセブン-イレブンで使えるようにする。7月までに開発が間に合う範囲に絞って、7payの機能を実装する方針に決めたという。7pay単体のアプリは3カ月遅れの2019年10月に配信し、グループ外の実店舗でも7payを使えるようにする計画だった。

相性が悪い「販促」と「決済」

 この計画には大きな落とし穴が隠れていた。「販促アプリ」として開発されたセブン-イレブンアプリと、「決済アプリ」として開発中の7payとでは、スマホなどの「端末」を特定してユーザーIDとひも付ける「端末認証」に関する仕様がまるで異なっていた点だ。