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 日産自動車が開発中の2モーターハイブリッド車(HEV)用ガソリンエンジンの試作機で、最高熱効率が50%を超えたことが日経 xTECHと日経Automotiveの取材で分かった。試作段階で比べてトヨタ自動車とホンダを上回り、エンジン開発史の節目である“50%量産機”の実現に最も近づく。2025年までに量産のめどを付けるようだ。

 2モーターHEVで先行するトヨタは開発中の試作機で47~48%、ホンダは同47.2%に達している。試作段階だが後発の日産が2社を上回った。日産は、ガソリン機を発電専用に活用する2モーターHEV機構「eパワー(e-POWER)」で、“50%量産機”の採用を目指す。

eパワーの外観。ガソリンエンジンと発電機、モーターを組み合わせたシリーズHEV。(出所:日産)
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eパワーの外観。ガソリンエンジンと発電機、モーターを組み合わせたシリーズHEV。(出所:日産)

 日産でパワートレーン開発を統括する常務執行役員の平井俊弘氏は、「eパワーの燃費性能と走行性能、排ガス性能の全てを素晴らしいものにする。その道筋の1つに50%達成がある」と意気込んだ。

日産自動車でパワートレーン開発を統括する常務執行役員の平井俊弘氏。(写真:宮原一郎)
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日産自動車でパワートレーン開発を統括する常務執行役員の平井俊弘氏。(写真:宮原一郎)

 ガソリン機における最高熱効率の向上競争は、かねて2モーターHEVに熱心なトヨタが先導し、ホンダが追いかけてきた。日産が割って入る形で、今後は三つどもえになる。

 実験値ながらも日産がトヨタやホンダを上回っているのは、シリーズ方式の2モーターHEV機構を採用することが大きい。モーターで駆動力を発生し、エンジンはほぼ定回転・定トルクで発電機を回す。エンジンの運転範囲を絞れて、熱効率の最高値を高めやすくなる。

 トヨタやホンダが採用するシリーズパラレル方式は、エンジントルクを発電機に加えて、車輪にも伝える。シリーズ方式に比べるとエンジンの運転範囲が広くなり、最高値の競争では不利になる。

 ガソリン機の最高熱効率の競争では、日産やトヨタ、ホンダの3社に加えてマツダも有力企業である。2019年内に量産する「スカイアクティブX」で、現時点の量産機における世界最高値の41%を超えるとみられる。

 ただしマツダは、2モーターHEVに比べてエンジンの運転範囲が広い簡易HEVを手掛ける。50%達成のハードルは3社よりも高い。