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 「複雑になった家電のシンプルさを取り戻すための核となる技術」。パナソニックの高速電力線通信「HD-PLC(High Definition Power Line Communication)」技術について、報道関係者向けの技術セミナーで同社の新規事業の責任者である馬場渉氏(同社 執行役員 コーポレートイノベーション担当)はこう評価した(図1)。同氏は元ドイツSAPのvice presidentで、パナソニックに引き抜かれた経歴を持つ。SAP時代からシリコンバレーを拠点に活動している。

図1 パナソニック 執行役員 コーポレートイノベーション担当の馬場渉氏
図1 パナソニック 執行役員 コーポレートイノベーション担当の馬場渉氏
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 長年シリコンバレーで活動してきた同氏がHD-PLCを高く評価するのは、シンプルなユーザー体験(UX)を実現できる技術だからとする。HD-PLCは既設の電力線を利用して、高速通信を可能にする。例えば、「家の配線設備に適用した場合、あるコンセントにつながる家電が、同じく別のコンセントに接続する家電と通信できようになる。現在のルーターも電源供給にコンセントを利用していることを考えると、インターネットへの接続も簡単になる」(馬場氏)。最終的にパナソニックは、あらゆるスマート家電やスマートホーム機器をコンセントに電源プラグを差し込むだけで、ネットワークにつながる世界「くらしネットワーク」を実現したいとする(図2)。

図2 パナソニックの「くらしネットワーク」の目指す姿
図2 パナソニックの「くらしネットワーク」の目指す姿
将来は、家中の家電が電力線を利用して通信できるようにする。コンセントにプラグを差し込むだけで家電やスマートホーム機器が通信できるようになる。(図:パナソニックの資料から)
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 手本とするのは、自動車で採用が進んでいるCAN(Controller Area Network)である。CANは自動車内のECU(電子制御装置)やセンサーユニットなどを横断的に接続するための通信規格だ。機械制御から電子制御に進む中で、配線の軽量化や簡素化、コストの削減につながるとして瞬く間に普及した。馬場氏はHD-PLCを「家庭内のネットワークにおいて、ちょうど30年前のCAN」と位置づける。