全2046文字
PR

 「こんな感じのコートが欲しい」――。頭の中で買いたい洋服のイメージが浮かんでいても、EC(電子商取引)サイトでイメージ通りの1着をすぐに検索し当てるのはなかなか難しい。

 「64ギガのSDカード」「2リットルの水」などスペック(仕様)で検索しやすい商品と違って、洋服はシルエットや色柄、素材感など、微妙な好みの違いを言葉で表現しにくいためだ。「こんな感じ」を端的に言い表すのは簡単ではない。

 そんな消費者の悩みを解決する機能が近頃、ファッションEC市場で続々と登場している。AI(人工知能)を使った画像検索機能だ。

トレンドも考慮するAI

 衣料品ECモール「ZOZOTOWON」を運営するZOZOは2019年8月26日、閲覧した商品の類似商品を検索できる新機能「類似アイテム検索機能」をWebサイトに実装した。商品画面に追加した「画像検索アイコン」をクリックすると、サイトで扱う330万点以上のアイテムの中からAIが形や質感、色、柄などが似た商品を探し出して、ずらりと表示する。

ZOZOの「類似アイテム検索機能」のイメージ
ZOZOの「類似アイテム検索機能」のイメージ
(出所:ZOZO)
[画像のクリックで拡大表示]

 AIは「似ている」と判断した度合い順に上から商品を並べる。そのため、サイト利用者は自分のイメージに近い商品画像をクリックしていくだけで、目的の商品にたどり着きやすくなる。ネックの形や袖の形、サイズなど、ファッション業界特有のトレンド感も考慮した結果を表示するという。

 「検索結果は質・量ともに他社(の画像検索サービス)より優位性がある」。同機能を開発したZOZOのIT子会社ZOZOテクノロジーズの久保田竜弥社長はこう自信を見せる。

 AIは一般に、教師データを大量に読み込んで学習していく。その点、「これまでZOZOTOWNとコーディネートアプリ『WEAR』でためた膨大で高品質な画像データが生きた」と久保田社長は話す。「トレンドを捉えた精度の高い検索結果を出せている」(久保田社長)。

 ZOZOTOWONのサイトで販売される衣料品の売上高は年間3200億円で国内最大級である。豊富なデータを武器に、独自の画像検索エンジンを作り上げたわけだ。

 一部のユーザーで実施した先行テストでは、同機能の利用者は使っていない利用者に比べてサイトの滞在時間が4倍以上に高まったという。今後さらに画像検索エンジンを改良し、コーディネートを含めた提案などもできるようにする計画だ。