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 だが、策士として知られるソフトバンクである。同社の回線契約を必須とせず、「端末単体の購入に対して割引を適用する」という奇策で半額サポート+を打ち出した。同社の榛葉淳副社長執行役員兼COOは、「ソフトバンクユーザー以外のお客さまも今回のプログラムをご利用いただける」とする。NTTドコモやKDDI(au)の利用者もソフトバンクショップで「iPhone 11」などの端末を購入し、半額サポート+に加入して2年後以降に残債の免除を受けられるというわけだ。

総務省の有識者会合で批判相次ぐ

 ただ、ソフトバンクが販売する端末にはSIMロックがかかっており、NTTドコモやKDDIの回線ではつながらない。ソフトバンクショップでSIMロックを解除するには、分割払いだと購入後100日間待つ必要がある。「100日待っていただければ解除できる。それでもお客さまの(端末購入方法の)選択肢になり得る」(同)としたが、他社回線の契約者にとっては購入直後の最新機種を最も使いたい時期にLTEで通信できないという重い制約を甘んじて受け入れるか、MVNOを含むソフトバンク回線に契約を切り替えるかの2択を迫られることになる。

 総務省が改正電気通信事業法で打ち出した高額割引の規制を実質的に骨抜きにする半額サポート+。「改正電気通信事業法の趣旨に反するものではないと総務省に確認のうえで導入した」。榛葉副社長は2019年9月9日の記者会見でこう見えを切った。

 当の総務省は「(NTTドコモやKDDIの利用者に対して販売する端末にソフトバンクのSIMロックをかけることは)実質的な障壁になるかもしれないが、今回の改正法の枠組みではSIMロックについて触れておらず、半額サポート+は改正法の規律に抵触してはいない」と力なく語る。一方、通信事業者間の競争のあり方について議論してきた総務省の有識者会合の構成員からは「改正電気通信事業法の趣旨に反する」「実質、端末による囲い込みだ」といった批判が相次いだ。

 10月1日の法改正に先んじて骨抜きにするようなプログラムを提示したソフトバンク。そこまでして端末の割引にこだわるのは、NTTドコモやKDDIと異なるソフトバンク独自の事情がある。それは同社が10年来続けてきた「iPhoneと言えばソフトバンク」という構図が崩れつつあり、対策を講じなければ窮地に陥る懸念があることだ。