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 ソフトバンクとKDDI(au)が新たに投入した「実質半額」をうたう端末購入支援プログラムに対し、政府が異例のスピードで改善の指導に乗り出す。

 問題にしたのは、端末にSIMロックをかけて一定期間は他社回線で使えなくした点だ。さらに、実質負担額が「半額」を明らかに超えており、利用者に誤解を与えかねない点も問題視した。

 総務省は2社に対して、ルールを改定して即時にロック解除に応じるべき条件を明示する。消費者庁は「半額」の広告表示に対して消費者に注意喚起する方針だ。

 過度な利用者の囲い込みを禁じた改正電気通信事業法の施行を2019年10月1日に控え、総務省や消費者庁、公正取引委員会などがNTTドコモを含めた携帯大手3社の一挙手一投足を注視している。図らずもソフトバンクとauはここで「地雷」を踏み、行政が埋めるべき制度の抜け穴を指し示した格好だ。

実質の免除は「4割」どまり

 政府が改善指導に乗り出すのは、ソフトバンクが2019年9月9日に提供を始めた「半額サポート+」と、auが10月1日に提供を始める「アップグレードプログラムDX」だ。2社ともにプログラムの内容はほぼ同じである。

 ソフトバンクとauはまずそれぞれが指定した端末を48回の分割払いで販売する。利用者は24回分の支払いが終わった後、同じ端末を使い続けるか、端末を返却して2社が指定する新端末に買い替えるかを選ぶ。買い替えを選ぶと旧端末の残債をそれ以降免除する。

 最大で24回分が免除されることから、2社は利用者の支払額が「実質半額」になるとうたっている。しかし⽉払いの端末代⾦とは別に⽉額390円の「プログラム利⽤料」を徴収する。24回支払った時点で端末を買い替えるとすると、この時点で端末代金とは別に総額9360円を支払ってきた計算になる。

 従って、半額は「見かけ上」であり、実質的な負担額は半分を超える。また返却する旧端末は本来、中古品として金銭的価値を持つ。2年前に発売したiPhone 8(64ギガバイト)を例にとると、2万円前後の価値を無償で返却することが条件になる。

ソフトバンクとauは「半額」をうたうが実質支払い額はNTTドコモと大差ない
iPhone 11(64ギガバイト)に各社の端末購入補助プログラムを適用した例、金額は全て税抜き(総務省資料を基に日経 xTECH作成)
NTTドコモKDDI(au)ソフトバンクアップル直販(参考)
販売価格7万9200円8万2400円8万2667円7万4800円
毎月の支払額(支払い回数)2200円(最大36回)約1717円(最大48回)約1722円(最大48回)約3117円(24回)
プログラム利用料なし9360円(390円×24カ月)9360円(390円×24カ月)なし
最大の残債免除額2万6400円4万1200円4万1334円なし
最安の実質支払い額5万2800円5万560円5万694円端末価格と同額
2年経過した下取り価格の例(iPhone 8、64ギガバイト)2万1296円1万9500円2万円最大2万3350円

 総務省が2019年9月20日に開催した有識者会合では、総務省や構成員らがこの半額表示の問題点を指摘した。会合にオブザーバーとして参加した消費者庁は「今は注視しているところ」との発言にとどめたものの、2019年9月中にも消費者への注意喚起を実施する方針を固めたもようだ。まずは消費者への注意喚起にとどめ、2社がどう自主的に改善するかの様子を見るようだ。

 総務省の試算によると、2社のプログラムの実質的な残債免除額は4割にとどまる。新製品のiPhone 11シリーズで販売価格が最も安いiPhone 11(64ギガバイト)を例をとると、2社の端末販売価格が8万2000円強なのに対し、利用者の支払総額は24回支払い時点で端末を返却しても5万円強となる。実質の免除額は38.6~38.7%だ。

 NTTドコモは半額よりは小さい「最大3分の1」の残債免除をうたうプログラムを提供するが、負担額は5万2800円でソフトバンクやauと大きく変わらない。プログラム利用料が不要で、端末販売価格は若干安いからだ。