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 2019年9月20日発売のiPhone新機種「iPhone 11」シリーズに採用したUWB(超広帯域無線)の用途について、米アップル(Apple)が現在明らかにしているのは、「AirDrop機能向け」ということだけ。AirDrop機能とは、無線を利用して、近距離にあるほかのiPhoneやiPad、iPod Touchと写真や書類などのコンテンツを送受信・共有するもの。UWBの導入によって、同機能で自分のiPhoneに存在するファイルを共有する際、自分のiPhoneを相手のiPhoneに向けると、その人々が送信先のリストとして最初に表示されるなど、より直感的に使えるようになるという注1)

注1)AirDropの新機能は9月25日から利用できるようになった。
出所:Apple
出所:Apple
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 受信側のiPhoneにとっても、UWBによるメリットがありそうだ。AirDrop機能においてデータを送ってきた端末(人物)がいる方向、すなわち誰がどのデータを送ってきたかが分かるようにできそうだからだ。日本では、「AirDrop痴漢」が問題になっている。AirDrop機能の受信設定を「すべての人」にすると、不特定多数のiOS端末からデータを受け取れる。AirDrop痴漢はこの仕組みを悪用し、わいせつな画像などを他人のiOS端末に送りつけるものだ。電車で移動する場合が多い日本では、車両に多くの人々が乗っているため、このような痴漢が発生しやすい。

 防止策は受信設定を変えることだが、あくまで被害を防ぐための策であり、加害者側にペナルティーがないので根絶は難しい。一方、UWBを利用すれば、どこの誰がデータを送って来たか、「犯人」を特定しやすくなる。つまり加害者側にとって、「ばれて捕まる」という可能性が高まることから、AirDrop痴漢がグッと減るのではないだろうか。そもそも、「××cm」以内の端末としかデータを送受信しない、と設定すれば、不要なデータを送り付けられる可能性は大きく下がるだろう。

 このほか噂の域は出ないものの、アップルはUWBを紛失防止タグに利用するのではないかとされている。Bluetoothを使った同種の製品を、外部企業が既に実用化している。それらに比べて高精度をウリにした「アップル純正」の紛失防止タグが登場するのではないか、と目されている。