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 現状は事故時などの緊急時を除く「平常時」に混雑が生じる(運用容量を超過する)ことは想定していない。将来、その可能性が認められると判断したときは、送電線の増強工事を事前に行うことで混雑を発生させないという考え方だった。一時的に出力抑制を要請するとしても、増強工事が決まっていることとセットで、工事が完了するまでの暫定接続であることが条件だった。

 昨年、再エネ接続を増やすために海外事例を参考に「日本版コネクト&マネージ(C&M)」という考え方を資源エネルギー庁や電力広域的運用機関が主導して導入した。現在、一般送配電事業者は日本版C&Mとして決められた考え方に基づいて系統運用・接続の規制緩和に取り組んでいるところだ。

 だが、日本版C&Mには「最過酷断面」が送電線容量をオーバーするかしないかで接続の可否を判断することに加え、出力抑制をするとしても増強工事が完了するまで過渡的措置という考え方は基本原則として残っている。つまり、東電方式は政府が考える日本版C&Mの範囲を超えるものであったのだ。

海外では日常的に混雑管理を実施

 混雑管理は「Congestion Management」の翻訳である。海外では平常時の混雑管理が頻繁に行われている。通常は市場機能によりコストの低い電力を優先的に送電する。送電線の混雑が予想されるときは、それ以上、その送電線を通じて送電することができないため、コストが相対的に高くても他の送電線を介して他の発電機から電力を供給する。

 卸電力市場では上述の混雑を考慮した約定処理をしており、これを「間接オークション」(Implicit Auction)という。次に管理手段として用いられるのが混雑の原因となる発電機の出力を減らす出力抑制(Curtailment)である。

 出力を減らすとその分、別の発電機から電気を供給する必要がある。これも卸電力市場から調達することが原則であるが、系統事故に伴う発電抑制など、市場での調達が困難であるケースでは、「再給電」(Re-Dispatch)という給電指令により系統運用者が供給力を確保する。

 欧米の主要市場では混雑管理を含む運用が15分~1時間単位で、実際の電力の授受が行われる5分~1時間前まで調整が実施される。こうした運用は送電線利用率の飛躍的な向上をもたらす。また、最過酷断面という発想は起こりえない。社会インフラである送電線を最大限、有効活用するために、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)技術を駆使してアセットマネジメントしているのである。

 東電方式は、価格機能を利用し、きめ細かい潮流予想に基づき送電線の利用を決める欧米に近い運用方法を取り入れたものだ。国内では画期的だが、欧米が先行しているという意味では特殊でも目新しいものでもない。東電方式は東電PGエリアのみならず、欧米と同様、国内でも全エリアに適用されてしかるべきものだと言える。

 では、政府や広域機関はこの方式をどのように捉えているのであろうか。

 新たな接続法に関する東電PGの説明資料には「試行的な取り組み」と表現されている。これは日本版C&Mの中身を具体的に検討している広域機関が、東電方式を日本版C&Mの1つである「ノンファーム型接続」の「試行」と位置づけたためだ。