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 米ザイリンクス(Xilinx)は、ソフトウエア設計者やAI開発者などに向けて、FPGAアクセラレーターを容易に開発するための設計環境「Vitis(バイティス)」を発表した(ニュースリリース)。恒例の開発者向けプライベートイベント「Xilinx Developer Forum 2019」(2019年10月1日と2日に米国カリフォルニア州サンノゼで開催)の目玉となる発表である。

XDF 2019の基調講演でVitisを紹介するVictor Peng氏(President and Chief Executive Officer)。日経 xTECHが撮影。
XDF 2019の基調講演でVitisを紹介するVictor Peng氏(President and Chief Executive Officer)。日経 xTECHが撮影。
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 新しい設計環境の開発を主導した同社のRamine Roane氏(Vice President of Software and AI Product Marketingによれば、Vitis の開発は5年前から始めた。同社は新世代のハードウエア設計向け開発環境「Vivado Design Suite」を2012年に発表している(関連記事1)。その後、ソフトウエア設計者を意識した複数のFPGA開発環境を提供してきた。組み込みソフト技術者向けのFPGA開発環境「SDSoC」(関連記事2)や並列演算向けのプラットフォーム「OpenCL」に対応したFPGA開発ツール「SDAccel」(関連記事3)、さらにAI開発向けのツール(買収した中国DEEPPHIのDNN DK) などである。

ソフトウエア設計者向けの開発環境を「Vitis(バイティス)」に一元化。Xilinxの開発環境はVitisと、ハードウエア設計者向けのVivadoの2つになる。同社のスライド
ソフトウエア設計者向けの開発環境を「Vitis(バイティス)」に一元化。Xilinxの開発環境はVitisと、ハードウエア設計者向けのVivadoの2つになる。同社のスライド
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 Roane氏によれば、今回のVitis は、こうしたソフトウエア設計者向けの開発環境を統合・一元化した。今後、多くのアプリケーションソフトウエアにはAI処理(主にDNNによる推論処理)が含まれると見込み、Vitis にはAI開発者向けの機能も備わる。Vitisの登場によって、Xilinxの開発環境はハードウエア設計者向けのVivadoとソフトウエア/AI開発者向けのVitisの2つになる。Vitisで開発した設計データをVivadoに入力することで、FPGAをプログラムするデータが得られる。

 Roane氏によれば、Vitis開発の背景には、アプリケーションに特化したアクセラレーターの需要が今後ますます盛んになるという見込みがある。Mooreの法則の終焉(しゅうえん)が近づき、汎用のプロセッサー(代表格はx86マイクロプロセッサー)の性能向上が難しくなるからだ。「アクセラレーターをプログラマブルでないハードウエア(回路)で開発すると、ユーザー個々のアプリケーションに必ずしも最適にはならない。FPGAならば、ユーザーそれぞれの用途で最適なアクセラレーターを実現できる」(同氏)。同氏が見せた、アクセラレーターの最適化の例では、CPUをFPGA上で実現したり、ハードウエアを2重化したりすることもFPGAで簡単に実現できることを示していた。

FPGAアクセラレーターの効果の例。CPUもFPGA上に実現することでさらに高速化が図れるとする。Xilinxのスライド
FPGAアクセラレーターの効果の例。CPUもFPGA上に実現することでさらに高速化が図れるとする。Xilinxのスライド
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