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 「米アップル(Apple)は2020年にARグラスを発売するか」――。インターネット上やAR(Augmented Reality)技術者の間で大いに盛り上がっている話題だ。発売時期は2020年を予想する声が大きい。2020年登場という予想には、5つの理由があると記者は考える。

 第1に、2020年は5G(第5世代移動通信システム)実用化の年だからだ。アップルは2020年に5G端末を発売すると予想されている。その5G端末では新たなユーザーを取り込むに当たって、大容量の映像データのやり取りなどに5Gのメリットを生かせるARグラスやVR(Virtual Reality)が重要な役割を担うとみられる。5G端末の販売促進につながるため、アップルがARグラスを投入する可能性は高い。

NTTドコモは5G実用化に向けて、ARやVRの事業強化に力を注ぐ
NTTドコモは5G実用化に向けて、ARやVRの事業強化に力を注ぐ
2019年4月に、NTTドコモは米マジックリープ(Magic Leap)に約300億円出資した。マジックリープは、HMD(ヘッドマウントディスプレー)のメーカーである。(撮影:日経 xTECH)
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 第2は、iOS 13やアプリ開発環境「Xcode 11」のプログラムの一部に、ARグラス向けと見られる機能や、ARグラスを指すとみられる名称などが含まれていることだ。例えば、ARグラスを示すとみられる「HME」という単語を、海外のiOSアプリ開発者が発見した。AR技術者の間では、HMEは「ヘッドマウントエクスペリエンス(Head Mounted Experience)」の略で、ヘッドマウントディスプレー(HMD)と類似した存在だと推測されている。

 第3の理由として挙げられるのは、アップルが2019年3月に出願したARグラス関連特許の存在である。同年9月19日に公開された同特許は、FOV(視野角)が120度で、米マイクロソフト(Microsoft)「HoloLens」や米マジックリープ(Magic Leap)「Magic Leap One」の約50度に比べると非常に広い。この特許は、アップルが2018年に買収した米Akonia Holographicsが持つ光学系の技術が基になったとみられる。

アップルが出願したARグラス関連特許
アップルが出願したARグラス関連特許
2019年9月19日に公開された特許で、FOV(視野角)が120度と非常に広い。(出所:アップル出願の特許資料「US 2019/0285897 A1」より)
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 第4の理由は、最新機種「iPhone 11」シリーズを分解したことで見えた。まず、モジュールのように小型化した2階建て構造のメイン基板だ。もしARグラスが単体動作型(スタンドアローン)になったとしても、小型なメイン基板なら本体に組み込みやすい。加えて、高価なフレキシブル基板をふんだんに使った設計が、小型で3次元的な配線が必要になるARグラスの布石ではないかとの指摘がある。