「GoogleはVR事業から撤退するのか?」――。米グーグル(Google)が米ニューヨークで開催したハードウエア関連の発表会「Made by Google」(2019年10月15日に開催)が終わると、VR(Virtual Reality)コンテンツ開発者の間では、この話題で持ちきりとなった。同イベントで発表したスマートフォン(スマホ)の新製品「Pixel 4」が、グーグルが提供するスマホ向けVR(モバイルVR)プラットフォーム「Daydream」に対応しないことが明らかになったためだ。
実は、従来製品「Pixel 3a」でもDaydreamに対応していなかったが、スマホの処理性能が低いためだと推測されていたのだ。しかし、性能が上がったPixel 4でもDaydreamは対応されなかった。
スマホを挟んで使用するDaydream用の専用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Daydream View」が、販売終了したことも判明した。販売ストアからDaydream Viewがひそかに消えたのを、開発者たちは見逃さなかった。2016年10月の発売から約3年で姿を消した。
グーグルがモバイルVRで失敗したのは、3つの理由がある。まず第1に、プラットフォームとしての強みをユーザーに訴求できなかったからだ。例えば、米フェイスブック(Facebook)子会社の米オキュラスVR(Oculus VR)のアプリストアには、スマホ向けに多くのVRゲームやVRアプリが並ぶ。Daydreamのアプリストアと比べると、数倍以上のコンテンツが用意されている。Daydream専用のVRアプリは少ないので、わざわざDaydreamを選ぶ理由がなくなってしまう。
第2の理由はライバルの存在が大きいことだ。Daydream Viewは高品質なVR体験をスマホで実現するとして2016年10月に発表されたが、前年の2015年には、同様に高い体験の質をうたうモバイルVR向けHMDとして、オキュラスと韓国サムスン電子が共同開発した「Gear VR」が発売されていた。
Gear VRの出荷台数は、2017年初頭に500万台を超えたとサムスン電子が発表した。調査会社の英IHSマークイットは、2017年のモバイルVR用HMDの出荷台数について、Daydream Viewが223万台、Gear VRが410万台と予測しており、Gear VRの累積出荷台数は1000万台を超える勢いを見せていた。
第3に、モバイルVR自体が、その役割を終えようとしていることが挙げられる。現在のVR用HMDの主流が、どのスマホでも使える汎用機から、各社が開発した専用ハードウエアへと移りゆく時期にある。2018年以降、オキュラスの「Oculus Quest」や中国レノボの「Lenovo Mirage Solo with Daydream」など、単体動作型(スタンドアローン)で高品質な体験が可能なVR用HMDが複数登場してきたのが背景にある。
