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 企業の経理担当者らが国税電子申告・納税システム(e-Tax)を使って、社長の委任を受けて納税を申告する「電子委任状」が2020年1月から利用可能になる。国税庁が2019年11月15日に公表した。電子委任状の利用が広がれば、行政手続きで印鑑が不要になりそうだ。

 従来のe-Taxは原則、法人の代表者である社長の電子署名を付けた電子証明書を使って納税の申告をする必要があった。電子署名は書面への押印や署名と同等の法的効力を持つ。

 企業が代表者の電子署名が付いた電子証明書を使うには、社長の住民票や印鑑証明書、登記事項証明書を用意して、電子認証サービス会社(認証局)から、電子証明書が搭載されたICカードなどを取得する必要がある。もし社長が交代してしまうと電子証明書を取得し直すのに時間がかかる。こうした手間のために企業が納税に必要な申告データの作成をデジタル化しても、結局は紙を使った申告に逆戻りする要因になっていた。

 企業が電子委任状を使うと、企業の代表者である社長から経理担当者に与えられた権限が行政手続きの際に伝えられる。社長の電子署名がなくても、経理担当者が電子委任状に記載された権限を基に納税手続きをできる。社長が替わった際に新社長が電子証明書を取得し直すまで手続きができないといった事態がなくなる。

図 電子委任状の利用メリット
図 電子委任状の利用メリット
(出所:帝国データバンク)
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 官公庁の電子入札に使われている政府電子調達(GEPS)も、2021年5月から電子委任状に対応する予定だ。企業がそれぞれの社内事情に応じて担当社員に権限を付与できるので、行政手続きのデジタル化が広がると期待を集めている。

 さらに政府は2020年4月以降に開始する事業年度から、資本金が1億円を超える株式会社などに対して、法人税や消費税の電子申告を義務化する。大企業はe-Taxを使わなければ納税できなくなる。政府は企業の利用頻度が高い行政手続きのコスト削減を目指してデジタル化を加速しており、今回の電子委任状の利用開始アナウンスも含めて行政手続きでは紙や印鑑の一掃に「太鼓判」を押した格好だ。