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 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)とLINEが2019年11月18日、経営統合することで合意した。ヤフーの月間利用者数は6743万人、LINEは8200万人に上る。国内最大の顧客基盤を有する企業連合の誕生がもたらす影響は、金融業界にも波及する公算が大きい。

経営統合について会見するZホールディングス代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏(左)とLINE代表取締役社長CEOの出澤剛氏
経営統合について会見するZホールディングス代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏(左)とLINE代表取締役社長CEOの出澤剛氏
(写真=的野弘路)
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 「国内市場に限ってみれば、GAFAが金融領域に参入してくるよりも怖い」と、地方銀行関係者は警戒心をあらわにする。海外勢であるGAFAならば、地銀が得意とする地域密着型のサービスにまで足を踏み込んでこないだろうという安心感があった。ところが国内企業の場合、競合する可能性は否定できない。実際、PayPayは全国に20拠点を構え、加盟店開拓を推し進めた。結果、1年余りで加盟店数は170万カ所を突破している。

 「競争軸が変わる」と予想するのは、ある金融機関の幹部だ。ヤフーやLINEにとって、金融事業は数あるサービスの一つ。狙うのは、日常生活の全てをカバーするスーパーアプリの座だ。折しも2019年11月18日には、シンガポールのGrabがJapanTaxiと組み、日本でのタクシー配車で連携することが明らかになった。アジアを席巻するスーパーアプリの潮流に、日本も飲み込まれるかもしれない。

 スーパーアプリの強さは、一つの事業者からワンストップで様々なサービスを受けられる利便性にある。金融機関がたとえ高品質な商品・サービスを提供したとしても、ユーザーは金融サービス単体で評価しない世界だ。Zホールディングス代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏は今回の統合について、「広範囲のサービスラインアップをそろえた上で、ユーザーフレンドリーな体験でつなぎ合わせられる総合力が最大の武器。あらゆるサービスで共通体験を提供することで(他社との)差異化を図る」と語る。

 前出の地銀関係者は、「決済やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を軸としたスーパーアプリが金融サービスまで支配する中国のような例もある。日本がそうならないとは言い切れない」とする。