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 アナログ・デバイセズは、第6回鉄道技術展(2019年11月27日~29日に幕張メッセで開催)にブースを構えて、米Analog Devices(ADI)の製品を使った、鉄道などのインフラに向けたソリューションを見せた。同社が鉄道技術展にブースを構えるのは2回ぶり(4年ぶり)のためだろう、本邦初公開というソリューションの提案が複数あった。記者が見た3つを以下に紹介する。

「構造物モニタリングソリューション」のコーナー。日経 xTECHが撮影
「構造物モニタリングソリューション」のコーナー。日経 xTECHが撮影
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 まず、ADIの加速度センサーを使った、構造物モニタリングソリューション。構造物のたわみをモニターする。これで、例えば、鉄道橋や道路橋などの橋梁を監視して、崩落の予兆を捉える。ブースの説明員によれば、国土交通省が監視対象としている橋梁は全国に70万あるという。現在は、人が橋梁に出向いて、たわみを光学的に計測しているとのことだった。橋梁の老朽化や人手不足を背景に、自動化したいという潜在ニーズはある。しかし、「これまでは、半導体の加速度センサーでは、必要な分解能が得られなかった」(同説明員)。

たわみを測定。アナログ・デバイセズのスライド
たわみを測定。アナログ・デバイセズのスライド
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 たわみを求めるには、計測した加速度を2回積分する必要がある。その際に、欲しい値だけでなく雑音成分まで大きくなってしまうという。そこで、今回、ADIは同社で最も低雑音の3次元加速度センサー「ADXL355」(関連記事1)を4×4の行列状に並べる方法を提案した。16個の計測結果を平均化することで、雑音成分を相殺できる、という考え方だ。ADIによれば、16個構成にしたことで1個の場合に比べて、雑音が1桁低減するという。同社は16個構成によって、0.25mmの変位を測定できることを確認したとする。これは、国交省が要求する約半分の測定分解能だという。

16個の加速度センサーを組み合わせて雑音を低減。アナログ・デバイセズのスライド
16個の加速度センサーを組み合わせて雑音を低減。アナログ・デバイセズのスライド
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 分解能半分の高精度測定が可能なことに加えて、ADXL355が低消費電力なこともアピールポイントだとした。「使い方にはよるものの、常時監視に近い運用でも、電池は1年間はもつ」(同説明員)。保守担当者のチェックとチェックの間も監視が可能になる。提案したソリューションのユーザーサイドでの評価や実証実験はこれからだが、実用化されれば、「1週間前の点検では何の問題もなかったのに……」といった事態が起こらなくなると期待される。