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 2年半ほど前にGPUコアの英イマジネーション(Imagination Technologies)は、米アップル(Apple)から取り引き終了を宣告された(関連記事1)。それまでスマートフォン「iPhone」向けのSoCにはImaginationのGPUコアが搭載されてきたが、Appleが独自開発のGPUコアに切り替えることを表明した。

 Imaginationの株価は急落し、同社は身売りに走ったが、米国のトランプ大統領から横やりが入り、不本意の形で中国系投資会社の米キャニオン・ブリッジ・キャピタル・パートナーズ(Canyon Bridge Capital Partners)に買収されることになった(関連記事2)。一部では「寿命が尽きるのは時間の問題」と言われていたが、2019年12月3日に中国上海市で開いたプライベートイベント「Imagination Inspire 2019」で新世代GPUコアを発表するまでに復活した。

左からAndrew Grant氏、David Harold氏、Kristof Beets氏。日経 xTECHが撮影
左からAndrew Grant氏、David Harold氏、Kristof Beets氏。日経 xTECHが撮影
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 来日したDavid Harold氏(Vice President, Marketing Communications)は言う。「ここ数年いろいろあったが、もう大丈夫だ。我々は完全に戻ってきた。例えば、従業員の採用を進めており、19年11月現在で従業員数は世界で900人を超え、19年末には1000人に達する」(同氏)。復活の証とばかりに同氏が紹介したのが、GPUコアの新シリーズ「IMG A-Series」である(ニュースリリース1)。IMG A-Seriesは7nm以降のプロセスで製造するSoC向けで、IMG A-Seriesを集積したSoCは2020年に市場に登場する予定である。

 同社のGPUコアは「PowerVR Series 7」「同8」「同9」と、シリーズ名の数字が大きくなる形で進化してきた。今回からシリーズ名はアルファベットとなり、第1弾がIMG A-Series。A-Seriesは既存のPowerVR Series 9と比べて性能が2.5倍になったという。一方で低電力重視の構成では、A-SeriesはPowerVR Series 9よりも消費電力を6割削減することが可能だ。今後、同社は毎年、新しいシリーズを投入する予定で、2020年は「B-Series」(A-Seriesに対して30%性能が向上)、2021年には「C-Series」(同60%向上)、2022年には「D-Series」(同90%向上)をリリースするという。

シリーズ名が数字からアルファベッドに。Imaginationのスライド
シリーズ名が数字からアルファベッドに。Imaginationのスライド
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 A-Seriesは性能が異なる3つの製品群「IMG AXT」「同AXM」「同AXE」から成る。同AXTはハイエンド/プレミアム機器向け、同AXMはミッドレンジ機器向け、同AXEはローエンド/エントリー機器向けである。今回、同AXTを4品種、同AXMを1品種、同AXEを2品種、合計で7品種を発表した。同AXTのハイエンド品種は「同AXT-64-2048」で性能は2TFLOPS、64G画素/秒、8TOPS〔人工知能(AI)処理性能〕である。1品種のみの同AXMは「同AXM-8-256」で、性能は0.25TFLOPS、8G画素/秒、1TOPS。同AXEのローエンド品種は「同AXE-1-16」で、性能は1画素/サイクル、16GFLOPS、1G画素/秒である。同社によれば、同AXE-1-16は同等クラスの製品の中で、最も高速なValkan対応GPUであるという。

今回発表したIMG A-Seriesは7品種。Imaginationのデータ
今回発表したIMG A-Seriesは7品種。Imaginationのデータ
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