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 これまで主にITプロジェクトの進捗管理に使われてきたタスク管理ツールが、ここ最近ビジネスの現場で広く活用されるようになってきた。タスク管理ツール「Jooto(ジョートー)」を提供するPR TIMESによると、2020年1月にもJootoのユーザー数が2年前の2倍となる20万人に達する見込みだという。同社の原悠介Jooto事業部長は「2018年ごろから利用者数が急激に増えている」と明かす。

 背景にあるのが人手不足だ。営業や事務、マーケティングといったIT以外の部門の現場でも、ITプロジェクトと同じように、1人がこなすべきタスクが増えている。さらに企業内で複数のメンバーが連携して仕事をするケースも増えてきた。

 こうした状況のなか、情報の共有にはメールやビジネスチャットを使う場合が多い。だが、現場でこなすべき多くのタスクについて、メールやビジネスチャットで進捗状況を管理すると「他のメールやメッセージに埋もれて進捗状況をすぐに把握するのが難しくなっている」と原事業部長は指摘する。

 タスクに関する情報が他のメールやメッセージに埋もれてしまい気づかないと、「失念しておりました」といった言葉が職場で頻発する事態になりかねない――。こんな課題に現場は直面しているのだ。

アジャイル開発プロジェクトのやり方でタスク管理

 タスク管理ツールとはタスクを示す「カード」と、カードを2次元で貼り付ける「ボード」を組み合わせることで、複数のタスクの進捗状況を一元管理できるようにしたツールだ。ボードには「未対応」「処理中」「完了」といった列を設けておく。タスクの進捗状況に応じて、該当する列にマウス操作でカードを配置する。進捗状況が変わればカードを別の列に移動させ、タスクと進捗状況を対応させる。

ヌーラボがプロジェクト管理ツール「Backlog」に2020年1月にも追加する「カンバンボード機能」
ヌーラボがプロジェクト管理ツール「Backlog」に2020年1月にも追加する「カンバンボード機能」
(出所:ヌーラボ)
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 このようにカードやボードを組み合わせたプロジェクト管理手法は「カンバン方式」と呼ばれる。短期間の開発を繰り返すITのアジャイル開発プロジェクトで広まっている方式だ。ITプロジェクトではメンバーがプロジェクトの進捗状況を把握しやすくするよう、付箋とホワイトボードなどを使ってアナログな手段でタスクを管理することが少なくないが、タスク管理ツールはボードとカードを電子化してデジタルで管理できるようにしている。

 代表的なツールとして前述の「Jooto」や、豪アトラシアンの「Trello(トレロ)」「Jira Software」、米ライクの「Wrike」などが挙げられる。多くがクラウドサービスとして提供されている。プロジェクト管理ツール「Backlog」を手掛けるヌーラボは2020年1月にも、カンバン方式でタスクを管理できるようにする「カンバンボード機能」をBacklogに追加する予定だ。

 料金も手軽に使えるような体系にしている。Jootoは4ユーザーまでは無料で使える。5ユーザー以上になると1ユーザー増えるたびに月500円の料金がかかる。TrelloやBacklogもJootoとは条件が異なるものの、無料サービスと有料サービスを提供している。Trelloは月額9.99米ドル(およそ1080円)から、Backlogは月2400円からになる。

 JootoはWebデザイナーなどのほか、社会保険労務士や税理士、建設業での利用が多いという。特に社会保険労務士や税理士は「顧客企業に代わって国などへの様々な手続きをしているが、手続きのし忘れなどのリスクがある。そのリスクを回避するためにJootoでタスクを管理しているケースが多い」と原事業部長は話す。

 タスクを含めて管理できるプロジェクト管理ツールの利用者も変わってきている。2006年からBacklogを提供してきたヌーラボの馬場保幸サービス開発部長は「ここ2、3年で営業や事務、マーケティングといった業務の担当者の利用が増えてきた。ITエンジニアの利用割合は相対的に下がってきており、今では4割台にとどまっている」と話す。数年前まではITエンジニアがバグ対応の管理などで利用するケースがほとんどだったという。

 ビジネスパーソン向けのタスク管理ツールとしてTrelloを提供している豪アトラシアン日本法人の朝岡絵里子シニアマーケティングマネージャーは「付箋を貼り付けたり移動させたりするような簡単な動きでタスクを管理できることから、一般のビジネスパーソンに広く受け入れられている」と指摘する。