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SiCの機能をフルで引き出せるか

 もちろん、はんだは十分に確立された技術であるため、品質面でもコスト面でもかなり競争力が高い。従って、超音波複合振動接合がはんだを全て置き換えるとは考えにくい。ここぞという箇所に絞って実用化すると考えるのが現実的だろう。

 そして、その用途の1つとしてLINK-USが狙うのが、シリコンカーバイド(SiC)製パワー半導体(以下、SiCパワー半導体)だ。現行のシリコン(Si)製パワー半導体と比べて大幅な効率向上をもたらすことから、今後のインバーターやコンバーターなどの電力変換器の心臓部を担うと期待されている次世代デバイスである。

トヨタ自動車が展示したSiCパワー半導体
トヨタ自動車が展示したSiCパワー半導体
左がMOSFETで右がダイオード。(写真:日経 xTECH)
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 だが、SiCパワー半導体にはコストが高すぎるというよく知られている課題に加えて、もう1つ大きな課題がある。はんだが使いにくいという課題だ。

 SiCパワー半導体は耐熱性が高く、250~300℃の高温でも動作するという優れた特徴を備えている。ところが、現実にはここまでの高温では使えない。はんだがもたないからだ。はんだは200℃を超えると劣化してしまうためである。はんだが劣化しない範囲の温度で使用するしかなく、その分、SiCパワー半導体の機能をフルで引き出せない。

 ここに、超音波複合振動接合ではんだレス化の潜在的なニーズがあると考えて開発を進めているのが、LINK-USなのである。もちろん、実用化までには極めて高いハードルを超えなければならない。だが、既に半導体メーカーや車載メーカーが強い関心を示しているようだ。