全1755文字
PR

 「ムーアの法則よ、安らかに眠れ(Rest in Peace)。新国王(AI)、永久の御代を(Long Live)」――。

 本来、国王の代替わりの際に叫ばれる決まり文句をもじった、この少々過激なメッセージは、米国サンフランシスコで2019年12月9日に開幕した半導体素子の学会「65th International Electron Devices Meeting(IEDM 2019)」が、セッション27で開いたパネルディスカッションの主題である。これまでIEDMはムーアの法則推進の“総本山”のような学会だった。そこが、ムーア則にここまで否定的なメッセージを発信したのはこれが初めてだろう。

パネルディスカッションの冒頭で示されたイメージ写真
パネルディスカッションの冒頭で示されたイメージ写真
撮影:日経 xTECH
[画像のクリックで拡大表示]

 実は数年前にも、同じIEDMで「ムーアの法則は終わるのか?」というテーマのパネルディスカッションが開かれている。当時は半導体業界を代表するパネルの登壇者のほとんどが、「そんなのはアナリストが勝手に騒いでいること。1970年代以降、『ムーアの法則の終焉』が何度も叫ばれているが、どれも嘘だった」と否定的。こうしたテーマで議論すること自体がバカバカしいというムードだった。

 しかし、今回は違う。6人のパネリストのうち、4人までが事実上この主題を支持する講演をした。

6人のパネリスト
6人のパネリスト
左から、IBM ResearchのWilfried Haensch氏、MythicのMike Henry氏、米University of California,Santa Barbara校のProfessor,Dimitri Strukov氏、モデレーターのIBM ResearchのVijay Narayanan氏、FacebookのRon Ho氏、TSMCのDouglas Yu氏、IntelのVivek De氏。(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、ムーア則を支えてきた半導体の微細化が止まった、あるいは早晩止まるというわけではない。極端紫外線リソグラフィー(EUV)などが登場し、少なくとも3nm世代前後までは微細化が進むことが確実になっている。しかも、NANDフラッシュメモリーに代表される高層化や3次元(3D)化も進むことで、単位面積当たりのトランジスタの集積密度向上は当面続くというのが業界共通の見解だ。