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 セブン銀行が新型ATMを使った事業展開を急いでいる。2019年9月に第4世代となる「ATM+(プラス)」を発表。AI(人工知能)カメラを使った顔認証技術を生かし、現金の出し入れにとどまらないサービス提供を目指す。キャッシュレスの拡大で足元の利用回数が減少するなか、ATMを単なる入出金装置から様々な生活サービス拠点に進化させ、生き残りを図る。

2024年までに全2万5000台のATMを全て新型機に入れ替える
2024年までに全2万5000台のATMを全て新型機に入れ替える
(出所:セブン銀行)
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顔認証で用途広げる

 セブン銀が新世代ATMの付加価値を高める切り札と考えるのが、AIカメラを使った顔認証技術である。2019年10月から12月にかけて、顔認証技術の有用性を確かめる実証実験を実施した。場所は東京の丸の内と新宿の計3カ所だ。顔認証で本人確認を済ませ、口座開設をする内容だ。

 免許証をスキャン台で読み込み、AIが写真の人物とカメラ前の人物との一致度合いを数値で算出。結果を基に、セブン銀側の担当者が本人かどうかを認証する。実証実験を通じてATMの操作手順や利用者心理などを検証。実験終了までに約180件の口座開設があったという。

最新機種には免許証やパスポートを読み込めるスキャン台を取り付けた。本人確認はNECのAIエンジンを採用した
最新機種には免許証やパスポートを読み込めるスキャン台を取り付けた。本人確認はNECのAIエンジンを採用した
(出所:セブン銀行)
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 セブン銀は顔認証技術を生かし、本人確認を伴う様々なサービスの拠点としてATMの幅を広げる考えだ。例えば映画や音楽コンサートのチケット発行、保険契約の申し込み、電子商取引(EC)のアカウントの開設などに応用できるとみる。セブン銀行の深沢孝治執行役員ATMソリューション部長は「デジタルサービスが普及するほど、本人確認の必要性も高まる」と、顔認証技術に期待を寄せる。現金を引き出すついでに利用したくなる様々なサービスを取りそろえ、ATMと利用者の接点を増やす考えだ。

 近年はスマートフォンなどオンラインで本人確認ができる仕組み「eKYC(electronic Know Your Customer)」も広がってきた。しかしスマホだけのやり取りに不安を感じる利用者や操作が分からない高齢者などに、リアルの場としてATMの需要があるとみる。