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 中国・華為技術(ファーウェイ)の新型スマートフォン「Mate 30」「Mate 30 Pro」は、その性能や機能よりも、米グーグル(Google)のアプリやサービスを使えなくなったことで注目された。米政府による禁輸措置の影響を本格的に受けた最初の機種ともいえる。今回、日経 xTECH(クロステック)は5G(第5世代移動通信システム)対応のMate 30 Proを分解し、その内部への影響を調べた(分解の詳細なレポートを後日掲載予定)。分解には、DMM.make AKIBAの協力を得た。

ファーウェイのスマホではフラッグシップ機種となる「Mate 30 Pro」を分解した。(写真:加藤 康)
ファーウェイのスマホではフラッグシップ機種となる「Mate 30 Pro」を分解した。(写真:加藤 康)
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「Without American Chips」が話題に

 ファーウェイの「脱米国」については、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2019年12月1日に「Huawei Manages to Make Smartphones Without American Chips」と題する記事を掲載したことで、全世界で話題になっていた。同記事では、Mate 30について外部機関の調査に基づいて「米国製部品は入っていない(contained no U.S. parts)」などと報じている。その上位機種であるMate 30 Proについては、実際に分解したところ、複数の米国企業製半導体を確認できた。とはいえ、全体的に見れば米国製部品はそれほど多くない。

 その1つが、米クアルコム(Qualcomm)の高周波(RF)フロントエンドモジュール(FEM)とみられる半導体だ。FEMは、LTE(Long Term Evolution)や5Gなどの無線フロント回路で使われる機能部品を一体化(1チップ化)したものである。近年、ファーウェイは米クォルボ(Qorvo)や米スカイワークスソリューションズ(Skyworks Solutions)のFEMを主に採用していた。ファーウェイがスマホ向けプロセッサーSoCやベースバンドICで競合するクアルコムの部品を使っていたのは意外だったが、当事者にとっては「それはそれ」という話なのだろう。

メイン基板の一部(2階建て部分の2階の基板)。赤枠で囲ったのがクアルコムのフロントエンドモジュールとみられる部品。(写真:加藤 康)
メイン基板の一部(2階建て部分の2階の基板)。赤枠で囲ったのがクアルコムのフロントエンドモジュールとみられる部品。(写真:加藤 康)
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 そもそもクアルコムは、米商務省が2019年5月16日にファーウェイおよび関連会社を禁輸対象リスト(エンティティーリスト)に加えた際、「ファーウェイへの出荷を停止した」と報じられた企業の1社でもある。その後しばらくして、出荷再開も報じられた。こうした報道の真偽は不明だが、多くの米国企業はファーウェイとの取引をなるべく維持しようとしているように見える。やはり、スマホで世界トップクラスのシェアを持つ同社との取引は、ビジネスとして軽視できないようだ。

 むしろ、クアルコムのFEMが使われていたこと以上に、クォルボやスカイワークスのFEMが使われていなかったことの方が衝撃は大きい。ファーウェイがこれら2社のFEMを使わなかった意図は定かではないが、米国企業からの調達に常に不安がつきまとうファーウェイにとって最も重要なのは選択肢の多さであり、クォルボやスカイワークスに頼らずともスマホを造れると示せたことになるからだ。しかも、メーカーの“顔”ともいうべきフラッグシップ機種となれば、なおさらである。

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