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 東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)の開催まで8カ月を切った。大会を盛り上げるためにも日本代表選手の活躍に期待がかかる。

 日本オリンピック委員会が掲げる目標は史上最多となる「金メダル30個」。一方、日本パラリンピック委員会が掲げる目標は金メダル獲得数で「7位以内」。2016年の前回リオデジャネイロ大会で7位だったオランダの金メダル獲得数が17個だったことを考えれば、実質的に20個ぐらいの獲得目標といえる。また過去には東京パラリンピックの金メダル獲得数の目標として22個を掲げていた。つまり関係者は東京オリパラで日本代表が金メダルを合計約50個獲得という空前のメダルラッシュに沸く絵を描いているわけだ。

 「金50個」の切り札がIT活用だ。中でもオリパラの本番に向けてラストスパートをかけるアスリートたちにとって、心強い武器がある。国立スポーツ科学センター(JISS)が運用する選手のデータ管理システム「アスリート・データベース」だ。アスリートに関する各種データを一元的に管理し、分析したりトレーニングに生かしたりできる。強化指定選手ら1000人以上が活用している。

東京都北区西が丘にある国立スポーツ科学センター
東京都北区西が丘にある国立スポーツ科学センター
(出所:日本スポーツ振興センター)
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 東京・西が丘にあるJISSは隣接する味の素ナショナルトレーニングセンターとともに、国内のトップ選手のために科学的トレーニング環境やスポーツ診療や栄養のサポート、スポーツの医科学研究などを提供している。JISSには磁気共鳴画像装置(MRI)や低酸素下でトレーニングする「ハイパフォーマンスジム」などといった高度なトレーニング・測定装置が置いてあり、スポーツドクターやスポーツ栄養士などが常駐している。

選手の各種データを横断的に分析

 アスリート・データベースの最大の特徴はこれまでに身体測定やトレーニング内容、メディカルチェックなどといった別々に整備してきたデータベースを集約し、新たに血中酸素濃度や睡眠の質といったコンディショニングデータのデータベースを加えて一元的に見られるようにしたことだ。異なる分野のデータを横断的に見ることで、例えば食事の内容は必要な筋肉の合成に役立っているかなどを選手やコーチが把握し、トレーニングや食事などの改善に役立てる。

 2001年の設立当初からJISSはデータベースの整備に力を入れてきた。一例がビデオ映像データベースだ。スタッフが撮影した映像をコマ送りで再生して選手の動作を分析したり、トップ選手と動きを比較したりできる。栄養評価のデータベースはJISS内のアスリート用食堂での食事内容を写真で登録すると栄養素が分かる仕組みだ。これらのバラバラのシステムを集約することで、より多面的なデータ分析と活用が可能になる。

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