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 2020年代の最初の年が明け、ディスプレー産業は新たな世界に向けた扉を開いた。昨年(2019年)に話題となったディスプレー関連のトピックスを筆者の視点で3つ挙げるとすれば、(1)折り畳みスマートフォン(スマホ)、(2)マイクロLED、(3)中国ディスプレー製造――になる。これらは皆、ハードウエアが話題の中心であったが、2020年代には5G、IoT、AIなどの進展を背景に、アプリケーションに重要性がシフトしていくであろう。

ディスプレー10年サイクルと産業化50年の波が複合し新たな世界を生み出す

 1970年代に実用化がスタートしたディスプレー注1は、ほぼ10年ごとの技術進歩と共に新たな市場を生み出してきた(図1)。1973年にシャープが液晶電卓を世に出して以来、情報機器市場、PC市場、TV市場、スマホ市場といった大きな市場を次々と作り出し時代の進歩と共に大きな産業として成長してきた注2。そして2020年代にはスマホに続く新たな市場をにらみながら、ディスプレー産業化50周年の節目を迎える。

注1)当初、ブラウン管と区別するため、産業界ではFPD(Flat Panel Display、平面ディスプレー)あるいは電子ディスプレーと呼んでいた。既にブラウン管を置き換えて社会一般化しているため、本記事では単に「ディスプレー」と記載する。
注2)ディスプレー産業の成長の詳細な中身に関しては、日経マイクロデバイス2007年4月号~2008年6月号、および2009年2月号~5月号の各記事を参照。各記事(PDF形式)は日経クロステックのダウンロードサイトで閲覧できる(例えばhttps://tech.nikkeibp.co.jp/pdf/NMD/20070401/945720/?ST=nxt_chargeなど)。
図1 ディスプレー産業発展の全貌
図1 ディスプレー産業発展の全貌
ディスプレー産業は10年ごとに新たな市場を生み出し、2020年代には産業化50周年の節目を迎える。ディスプレー産業成長の背景には電子産業の進展があり、さらには50年周期の産業発展であるコンドラチョフの波がある。これらの時代の波に乗って、ディスプレーは次なる50年の進化を目指す。また、ディスプレーの大画面化を実現したアクティブ駆動の実用化(1990年前後)から30年経過となる2020年代には、これまでのハードウエアを中心とした産業からアプリケーションを主体とした空中映像を作り出す新たな技術革新が起きていくと予想される。(図:テック・アンド・ビズ)
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 ディスプレー産業発展の背景には、半導体や通信・放送などの電子産業の進化がある。これらの産業は50年サイクルの産業発展の波であるコンドラチェフの第4の波に相当するIT革命の波に乗って成長してきた。そして産業発展の時代は今まさに新たな第5の波であるネットワークの世界に移り始めており、50年の成長を続けてきたディスプレーもコンドラチェフの第5の波との相乗効果で次なる50年を目指した発展を見通すことができる。

 このディスプレーの新たな50年の姿は、これまでのハードウエア中心の世界ではなくアプリケーションが主体となっていくだろう。それは、ディスプレーというハードはあって当たり前の存在であり、それを意識することなく人々の目の前に新たな世界を開いてくれる一つの道具となることを意味する。そこには30年ぶりの技術革新が重要な役割を果たしていくだろう。

 30年前の技術革新とは、1990年前後に実用化され液晶の第一世代製造ラインから本格的に導入されたアクティブ駆動である。これがその後の直視型ディスプレーの大面積化の原動力となり、現在のディスプレー産業を支える重要な技術となった。しかし、直視型ディスプレーの大型化は2010年代にはほぼ飽和し、最近ではモバイル性を重要視した小型のデバイスへサイズがシュリンクする方向に向かっている。それに伴って、ディスプレーもハードウエア重視から、モバイル製品としてのユーザービリティーを重要視する方向に変化しつつある。この延長に、今後の空間映像の世界を実現する新たな技術革新を迎えることになるであろう。それを実現する有力な技術の一つがマイクロLEDである。

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