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 企業や自治体が大容量の無線回線を占有して使える「ローカル5G」が2020年春にも始動する。5G(第5世代移動通信システム)の技術を応用し、企業などが自らの敷地や建物内で自由に運用できる無線通信システムだ。総務省が2019年12月24日から受け付けを始めた免許申請には既に11の企業や自治体が申請を出した。

NECが開発したローカル5G向けの基地局。28ギガヘルツ帯を使う
NECが開発したローカル5G向けの基地局。28ギガヘルツ帯を使う
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 2020年春には携帯電話4社の5Gサービスも順次始まる。ただし企業が自らの工場などで活用するとなると、エリア展開を待つことになる。携帯各社は計画を前倒しして5Gのエリアを整備していく方針を示すが、自社がいつカバーされるのかは不透明だ。すぐに使えるとは限らない。

 その点、ローカル5Gは企業などが自らの敷地や建物内に基地局を置き、自社の都合に合わせて設計・運用できる。企業が5Gの産業活用を考えるなら、ローカル5Gは有力な選択肢の1つとなる。

最大3ギガビット/秒を占有できる

 2020年1月9日時点でローカル5Gの免許を申請したのはNECと富士通、NTT東日本の大手IT3社に加え、ジュピターテレコムなどケーブルテレビ6社、東京都、東京大学である。総務省は審査のうえ、2020年2月から予備免許を付与する。設備が整った申請者は検査を経て3月以降に順次、本免許を受ける予定だ。

ローカル5Gの免許を申請した団体(申請予定を含む)
企業名ローカル5Gの活用方法
NEC自社導入の後、法人向けに構築サービスを提供
富士通自社導入の後、法人向けに構築サービスを提供
NTT東日本東京大学と協業し自社拠点に実証環境を導入、法人向けに構築サービスも計画
東京大学NTT東日本と協業し東京・本郷キャンパスに実証環境を導入
東京都法人向けに実証環境を提供
ジュピターテレコム(東京都千代田区)ケーブルテレビ事業に活用
秋田ケーブルテレビ(秋田県秋田市)ケーブルテレビ事業に活用
ケーブルテレビ(栃木県栃木市)ケーブルテレビ事業に活用
となみ衛星通信テレビ(富山県南砺市)ケーブルテレビ事業に活用
ZTV(三重県津市)ケーブルテレビ事業に活用
愛媛CATV(愛媛県松山市)ケーブルテレビ事業に活用
日鉄ソリューションズ[申請を予定]日本製鉄の室蘭製鉄所で導入し、法人向けに構築サービスを提供

 6社と最も申請が多かったケーブルテレビ各社は、主に家庭につなぎ込むアクセス回線にローカル5Gを活用する考えだ。電柱などに基地局を設置し、従来は同軸ケーブルや光ファイバーを使っていた各家庭へのつなぎ込みをローカル5Gに置き換える。開通工事を簡便にできるほか、工事上の制約をなくしサービスを提供できる世帯を増やす狙いだ。

 総務省はローカル5Gにまず28ギガヘルツ帯の100メガヘルツ幅を割り当て、規格上は最大3ギガビット/秒の通信速度が出せる。実効速度で考えれば、現行4Gの10倍前後の高速通信が可能とみられる。4Kや8Kの高精細映像も余裕を持って伝送できる。