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 ギャンブル依存症対策として、監視カメラと顔認識技術を組み合わせた「入場管理システム」が注目を集めている。公営競技場や遊技施設の入り口などに監視カメラを置き、本人や家族の事前申告に基づいてギャンブル依存症患者の入場を制限するものだ。

 入場管理システムはさまざまなベンダーが手掛けるが、NTT東日本も力を入れる1社だ。2019年11月28日~12月27日には、競艇運営を担う全国モーターボート競走施行者協議会(以下、全施協)と共同で実証実験を実施。システムの有効性などを検証したところ、顔認識技術を活用した人物検知で思わぬ課題に直面した。

依存症患者や20歳未満に声掛けを想定

 競馬や競輪、競艇、パチンコ、パチスロといったギャンブルに日々多くの人々が興じている。しかし言うまでもなく、自らの収入を超えて散財すると、日常・社会生活に支障を来すことになる。本人だけでなく、その家族や周囲の人にまで大きな影響を及ぼす可能性がある。

 この社会課題に対し、政府は2018年10月に「ギャンブル等依存症対策基本法」を施行。2019年4月には同法に基づき「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を策定し、対策の抜本的な強化に動き出した。競艇運営を担う全施協もこれを受け、新たな入場管理方法の導入を模索していた。

 その技術開発に名乗りを上げたのがNTT東日本だった。具体的には監視カメラで入場者を撮影し、目・鼻・口の位置といった特徴量データなどから特定人物を検知する。

 実証実験では関係者を「みなし依存者」と見立てて検証を進めた。ただ将来的にギャンブル依存症患者の顔写真を本人または家族に登録してもらって検知した場合は現地職員が声を掛ける運用などを想定する。入場者の年齢を推定し、舟券を購入できない20歳未満の場合に声を掛けるといった用途も検討している。

 実証実験の場所は、ボートレース場の「常滑競走場」(愛知県常滑市)と場外発売場の「ボートレースチケットショップ高浜」(愛知県高浜市)。ボートレース場に4台、場外発売場に1台のネットワークカメラを設置し、クラウド上に構築した入場管理システムで検証した。

「常滑競走場」に設置したカメラ(左上と右上の2カ所)
「常滑競走場」に設置したカメラ(左上と右上の2カ所)
(出所:全国モーターボート競走施行者協議会、NTT東日本)
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