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 ホンダは「シビック」のセダンとハッチバックを部分改良し、2020年1月23日に発売する(図1)。外観の一部変更でよりスポーティーにしたほか、ADAS(先進運転支援システム)を標準装備にするなどで機能を向上。走りを楽しむ若年層に再度シビックの存在をアピールすることで、顧客拡充を狙う。

図1 部分改良を施したシビック
図1 部分改良を施したシビック
左がセダン、右がハッチバック。外観のデザインを一部変更。ADAS(先進運転支援システム)を追加するといった部分改良を実施した。2020年1月10日、幕張メッセ(幕張市)で開催された東京オートサロンで発表した(出所:ホンダ)
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 シビック ハッチバックが対象となるCセグメントの小型ハッチバック市場は、競合車がひしめく競争が激しい分野だ。特に2019年後半には、トヨタ自動車の「カローラ」やマツダの「マツダ3」といった競合車が全面改良車を発売したこともあり競争が激化している。

 シビックの国内販売台数の推移を見ると、トヨタやマツダの競合車が全面改良車を投入したことが少なからず影響しているようだ。例えば、日本自動車販売協会連合会が発表した「乗用車ブランド通称名別順位」で国内の販売台数を比較すると、トヨタが新型カローラを発売した2019年10月以降はシビックの落ち込みが激しい(図2、3)。同連合会の集計ランキングで50位外となり、販売台数が不明の状態だ。販売台数が540~730台程度に満たない状態が続いているようだ。2019年後半は台風や消費税増税の影響などがあり販売台数が落ち込んでいることも考えられるが、他社の推移と比較すると、災害や増税以外にも要因があることがうかがえる。

図2 シビックの競合に当たる車種の国内販売台数の推移(2019年5月以降)
図2 シビックの競合に当たる車種の国内販売台数の推移(2019年5月以降)
2019年5月にマツダが小型ハッチバックの「マツダ3」の全面改良車を発売。2019年9月には、トヨタ自動車がカローラの全面改良車を発売した。2019年10月以降におけるシビックの販売台数の推移は、50位の車種の販売台数から推定した値を基にした仮定値。日本自動車販売協会連合会のデータを基に日経Automotiveが作成。
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図3 2019年9月に全面改良したカローラ ツーリング
図3 2019年9月に全面改良したカローラ ツーリング
トヨタ自動車の「カローラ ツーリング」とホンダの「シビック」は車格が似ている。車両寸法は、カローラ ツーリングが、全長4495×全幅1745×全高1460mmで、ホイールベースは2640mm。一方、シビック ハッチバックは、全長4520×全幅1800×全高1435mmで、ホイールベースが2700mmだ。シビックはスポーツ走行にこだわるような顧客が主な対象となるものの、クルマの使い勝手の面などで競合した可能性も考えられる。(出所:トヨタ自動車)
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 それだけにホンダは、今回のシビックの部分改良で販売台数の落ち込みを回復させたいという思いがあるようだ。販売台数の目標は、ハッチバックが月500台(年間で約6000台)、セダンが月100台(年間で約1200台)という。ちなみに、ホンダの担当者によると、2019年の販売実績はハッチバックが6500台、セダンは1800台だった。

 競合は日系の自動車メーカーだけではない。欧州の自動車メーカーに目を向けると、ドイツBMWの1シリーズや同ダイムラー(Daimler)のメルセデス・ベンツAクラスも2019年に全面改良車を日本国内で発売している。同フォルクスワーゲン(Volkswagen:VW)に至っては、2019年12月に8世代目となる新型ゴルフを本国で発売したばかりだ。日本への導入予定はまだ決まっていないが、2020年中に市場へ投入される可能性が高い。

 これら海外勢を迎え撃つためにも、シビックの「走りにこだわったクルマ造り」といった位置付けを改めて明確にしておくことが重要になるというわけだ。