日本医療機器開発機構(JOMDD)と国際医療福祉大学、東京大学は、AIを用いた自動精子選別装置の開発に向けて共同研究契約を締結した。不妊治療などに向けて、精子の運動性や形態の解析から良好な精子の選別までを自動化する。従来は数時間~数十時間を要していた人による作業が、1時間以内に完了できるようになるとする。自動精子選別装置の発売を2020年に予定しており、「解析から選別まで一連でできる機器は世界初になる」(JOMDD)という。
人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療が増えており、運動性や形態が良好な精子の選別の重要性が高まっている。現在は、胚培養士と呼ばれる専門職が、目視と手作業で精子の選別を実施している。このため胚培養士の知識や経験に依存した選別精度のばらつきとともに、胚培養士への負担増が懸念されていた。
JOMDDなどは、AIを用いた精子細胞の運動性や形態の判別に加えて、良好と判断された精子細胞の選別までの自動化を目的とした自動精子選別装置の開発に向けた共同研究に取り組む。熟練の胚培養士が判定した良好な精子の画像を深層学習(ディープラーニング)で処理することで、精子の運動性や形態を自動で解析し、良好な精子を特定するプログラムを構築。プログラムの判定結果を受けて、良好な精子を自動で選別する。現時点で精子を検出する感度と特異度は、いずれも90%以上を得ているという。なお自動選別装置の用途は精子細胞に限定するものでなく、他の細胞の選別にも使える汎用品として発売する予定である。