PR
全2238文字

 「Android」スマートフォンであるにもかかわらず、米グーグル(Google)のアプリやサービスを使えなくなったことで話題を呼んだ中国・華為技術(ファーウェイ)の「Mate 30」「Mate 30 Pro」。米中貿易摩擦の影響を強く感じさせるが、日経クロステック(xTECH)が分解したところ、部品レベルでは引き続き米国製半導体が使われていることが分かった(関連記事。加えて、カメラモジュールの構造についても新潮流の兆しが見られる。

* 分解には、DMM.make AKIBAの協力を得た。

 Mate 30は一部メディアが「米国(企業)製部品は入っていない」と報じたが、日経クロステックが分解したMate 30 Proの5G(第5世代移動通信システム)対応品には複数の米国企業製半導体が搭載されていた。具体的には、既報の米クアルコム(Qualcomm)の高周波(RF)フロントエンドモジュール(FEM)の他、シーラス・ロジック(Cirrus Logic)のオーディオアンプとテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments、以下TI)のアナログスイッチである(いずれも推定)。

メイン基板の背面側。一部が2階建て構造になっており、写真右上が2階部分(片面実装、基板は台湾・華通電脳製)、左下が1階部分(両面実装、基板はオーストリアAT&S製)。(1)電源管理(ハイシリコン「Hi6421」)、(2)電源管理(ハイシリコン「Hi6422」)、(3)NFCコントローラー(オランダNXPセミコンダクターズ「80T37」)、(4)ワイヤレス充電(伊仏合弁STマイクロエレクトロニクス「BWL68」、(5)不明「HL1506F1」、(6)RFトランシーバー(ハイシリコン「Hi6365」)、(7)不明「429 h3830」、(8)不明「13HA XM36」、(9)RFフロントエンドモジュール(クアルコム「QDM2305」)、(10)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D05」)、(11)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H12」)、(12)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H11」)、(13)不明「446」(写真:日経クロステック)
メイン基板の背面側。一部が2階建て構造になっており、写真右上が2階部分(片面実装、基板は台湾・華通電脳製)、左下が1階部分(両面実装、基板はオーストリアAT&S製)。(1)電源管理(ハイシリコン「Hi6421」)、(2)電源管理(ハイシリコン「Hi6422」)、(3)NFCコントローラー(オランダNXPセミコンダクターズ「80T37」)、(4)ワイヤレス充電(伊仏合弁STマイクロエレクトロニクス「BWL68」、(5)不明「HL1506F1」、(6)RFトランシーバー(ハイシリコン「Hi6365」)、(7)不明「429 h3830」、(8)不明「13HA XM36」、(9)RFフロントエンドモジュール(クアルコム「QDM2305」)、(10)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D05」)、(11)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H12」)、(12)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H11」)、(13)不明「446」(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
メイン基板のディスプレー面側。(1)フラッシュメモリー(メーカー不明「MCT14C928VE9908-CHN」、256Gバイト)、(2)アプリケーションプロセッサー+ベースバンドIC(ハイシリコン「Kirin 990」、米マイクロンテクノロジーの8GバイトDRAMをPoP実装)、(3)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D22」)、(4)不明「438」、(5)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H11」)、(6)電源管理(ハイシリコン「Hi656211」、(7)エンベロープトラッカー(台湾・聯発科技(メディアテック)「MT6303P」)、(8)オーディオアンプ(シーラス・ロジック「35L36A」)、(9)不明「SM3010」、(10)不明「A940AEH STMP03」、(11)オーディオDSP(ハイシリコン「Hi6405」)、(12)不明「6611C」、(13)不明「3902」、(14)バッテリー充電(ハイシリコン「Hi6526」)、(15)Wi-Fi通信/Bluetooth通信(ハイシリコン「Hi1103」)、(16)アナログスイッチ(テキサス・インスツルメンツ「TS5MP646」)、(17)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H12」)、(18)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D03」)(写真:日経クロステック)
メイン基板のディスプレー面側。(1)フラッシュメモリー(メーカー不明「MCT14C928VE9908-CHN」、256Gバイト)、(2)アプリケーションプロセッサー+ベースバンドIC(ハイシリコン「Kirin 990」、米マイクロンテクノロジーの8GバイトDRAMをPoP実装)、(3)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D22」)、(4)不明「438」、(5)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H11」)、(6)電源管理(ハイシリコン「Hi656211」、(7)エンベロープトラッカー(台湾・聯発科技(メディアテック)「MT6303P」)、(8)オーディオアンプ(シーラス・ロジック「35L36A」)、(9)不明「SM3010」、(10)不明「A940AEH STMP03」、(11)オーディオDSP(ハイシリコン「Hi6405」)、(12)不明「6611C」、(13)不明「3902」、(14)バッテリー充電(ハイシリコン「Hi6526」)、(15)Wi-Fi通信/Bluetooth通信(ハイシリコン「Hi1103」)、(16)アナログスイッチ(テキサス・インスツルメンツ「TS5MP646」)、(17)ローノイズアンプ/RFスイッチ(ハイシリコン「Hi6H12」)、(18)パワーアンプ(ハイシリコン「Hi6D03」)(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 シーラス・ロジックは、半導体設計に特化したファブレスメーカーだ。同社の製品は米アップル(Apple)のスマホ「iPhone」に多く採用されており、iPhoneの普及とともにシーラス・ロジックも業績を伸ばしてきた。だが、近年はiPhoneのシェアが低下傾向にあることから、逆にアップルへの依存度の高さがリスク視されている。Mate 30およびMate 30 Proよりも先に発売されたファーウェイの5G対応スマホ「Mate 20 X 5G」には、シーラス・ロジックのオーディオアンプは使われていなかった。同社にとって、米中貿易摩擦の逆風を受けつつもシェアを伸ばしているファーウェイとの取引が増えるのは“渡りに船”だろう。

 一方、TIの半導体は、ファーウェイ製に限らず様々なスマホに使われている。Mate 20 X 5GにはTIの有機ELディスプレー用電源とみられる半導体が搭載されていた。Mate 30 Proに使われているアナログスイッチはTIの他にも多くのメーカーが手掛けているが、あえて米国企業であるTI製をファーウェイが採用した理由としては、性能面で優れていることや、在庫処理の都合などが考えられる。

 ただし、全体的に米国製半導体は従来機種よりも減っている印象だ。代わりに目立つのが、ファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)が設計した半導体である。Mate 30 Proのメイン基板には、ハイシリコンが設計した半導体が19個あった。Mate 20 X 5Gと全く同じ数だが、Mate 20 X 5GではプロセッサーSoC「Kirin 980」とベースバンドIC「Balong 5000」が独立したパッケージだったのに対し、Mate 30 Proでは両者を1パッケージ化(「Kirin 990」)しているので、実質的には増えている(関連記事)。

Mate 30 ProのベースバンドIC内蔵アプリケーションプロセッサー「Kirin 990」(写真:加藤 康)
Mate 30 ProのベースバンドIC内蔵アプリケーションプロセッサー「Kirin 990」(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]
Mate 20 X 5Gのアプリケーションプロセッサー「Kirin 980」とベースバンドIC「Balong 5000」(写真:加藤 康)
Mate 20 X 5Gのアプリケーションプロセッサー「Kirin 980」とベースバンドIC「Balong 5000」(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]

この記事は有料会員限定です

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

有料会員と登録会員の違い