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 リコーは2020年1月15日、固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSC シリーズ」を2月下旬から順次販売すると発表した(発表資料)。色素増感太陽電池(DSSC)は既にフジクラやシャープが発売しているが、ホール輸送層を従来のヨウ素溶液に代えて固体材料にした製品はリコーが初めてとなる。

 リコー Energy Harvesting事業センター 所長の田中哲也氏は、光や振動などの環境にある未利用エネルギーを“収穫”して利用することで、IoT(Internet of Things)端末やなどの充電作業を不要にすることを目指しているとする。今回のDSSCモジュールはその第1弾となる。

リコーが今回販売するDSSCモジュール。DSSC5284(左)、DSSC1719(右上)、DSSC2832(右下)
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リコーが今回販売するDSSCモジュール。DSSC5284(左)、DSSC1719(右上)、DSSC2832(右下)
(写真:日経xTECHが撮影)

 販売するのは、寸法が52mm×84mmの「DSSC5284」(発売時期2020年2月下旬)、同28mm×32mmの「DSSC2832」(4月下旬)、同17mm×19mmの「DSSC1719」(3月下旬)の3種類。価格はオープン価格。既にDSSC 5284は大成とデザインオフィスラインが2019年6月に発売した会議用デスク「LOOPLINE T1」に搭載されている。

2019年6月発売のLOOPLINE T1。DSSC5284を中央部分に一列に実装している
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2019年6月発売のLOOPLINE T1。DSSC5284を中央部分に一列に実装している
(写真:日経xTECHが撮影)

上記デスクのDSSC部分の拡大写真
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上記デスクのDSSC部分の拡大写真
(写真:日経xTECHが撮影)

 発電出力は、白色LEDで明るさが200ルクス(lx)とやや暗い照明の場合にDSSC5284が230μW。「例えば、(連続的な測定が必要な)二酸化炭素(CO2)センサーへの給電に適している」(リコーの田中氏)という。

 一方、DSSC2832は、「例えばリモコンの電源に使える」(リコー)とする。通常の電池が不要になり、リモコンを大幅に軽くできるのがメリットの1つだ。

ディスプレーのリモコンにDSSC2832を実装した例
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ディスプレーのリモコンにDSSC2832を実装した例
(写真:日経xTECHが撮影)

 最も小型のDSSC1719は、間欠通信型の環境センサーなどに使えるとする。実際、リコーはDSSC1719を温度、湿度、照度、気圧および、発電した電力を一時貯めるキャパシターの電圧を取得する環境センサーを開発中だ。無線通信には、Bluetooth Low Energy(BLE)を用い、20秒~1分に1度の間欠的な通信でデータを送信する。センサーの寸法は3.5cm×3.5cmと小型で面積をとらない。

開発中の間欠通信型の環境センサー
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開発中の間欠通信型の環境センサー
寸法は3.5cm角 (写真:日経xTECHが撮影)

上記環境センサーの測定値のリアルタイム表示例。上から、温度、湿度、気圧、照度、内蔵キャパシターの電圧のグラフ。
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上記環境センサーの測定値のリアルタイム表示例。上から、温度、湿度、気圧、照度、内蔵キャパシターの電圧のグラフ。
(写真:日経xTECHが撮影)

 DSSCで課題だった耐久性は、「アモルファス太陽電池と同じ耐久性試験で、アモルファス太陽と同等の耐久性を示している」(田中氏)とし、5~10年は利用できるという。

さまざまな色にできる
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さまざまな色にできる
(写真:日経xTECHが撮影)

半透明にもできる
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半透明にもできる
(写真:日経xTECHが撮影)

 リコーはDSSCの他に、焼成が必要な酸化チタン(TiO2)層を用いないことでフィルム基板が利用できる有機薄膜太陽電池(OPV)や、宇宙線に強いペロブスカイト太陽電池(PSC)なども開発中だとする。今回発売の製品は、2020年1月29日~31日に開催される「nano tech 2020 第19回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展するという。