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 最高裁判所の主導で、全国の裁判所は2020年2月3日から民事訴訟の「争点整理」手続きにITツールを活用する取り組みを始める。日本マイクロソフトは最高裁の入札に応じ、同社のクラウド型ビジネスチャットツール「Microsoft Teams」を活用する提案が採用されたとかねて明らかにしていた。いよいよ実運用が始まる。

 日本マイクロソフトによれば民事訴訟の争点整理においてTeamsを活用するのは世界初だという。

地裁などにおける「Microsoft Teams」を活用した争点整理手続きの概要
地裁などにおける「Microsoft Teams」を活用した争点整理手続きの概要
(出所:首相官邸)
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 一部の裁判所が2020年2月から運用を始める。具体的には知的財産高等裁判所、東京地方裁判所の一部、大阪地裁の一部、名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の各地裁の本庁である。

 3カ月後の5月ごろにはさらに横浜・さいたま・千葉・京都・神戸の各地裁の本庁でも運用を始める。予算は初年度分が約1億5000万円である。

 前述の通り、まず争点整理にITを導入する。これは内閣官房の「裁判手続等のIT化検討会」が2018年3月に取りまとめたIT化の方向性に沿った取り組みだ

 争点整理とは、原告と被告の間で争い事は何で、争い事を立証するためにどのような証拠調べをするかなどを整理する手続きである。事前に争点を明確にして裁判を円滑に進めるための手順であり、2018年に提訴された約13万9000件の民事訴訟のうち、4割以上に当たる約6万件で争点整理を実施している。

遠隔地の裁判所への出頭が負担に

 これまで争点整理をするためには、原告と被告、それぞれの代理人弁護士は裁判所に集まるケースが多かった。原告・被告や代理人が遠方に住む場合、裁判所に出向く時間やお金が負担となる。移動を考慮した日程調整に手間取って争点整理の期日が先延ばしになることも多かった。

 実は、1996年成立の現行民事訴訟法においても、対面ではなく、電話会議やテレビ会議で争点整理をすることは可能だ。だが活発に活用されているとはいえない。

 電話会議では関係者が互いの表情を見たり、同じ書面を見て協議したりできないため、スムーズに意思疎通できない問題があった。テレビ会議はシステムが裁判所間でしか接続できず、原告らは結局最寄りの裁判所まで出向く手間が残った。

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