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 クルマの価値が「走る」「曲がる」「止まる」の走行性能から車室内の快適性に移りつつある中で、ある“困り事”が開発現場を悩ませている。快適性を高める上で重要になるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の開発工数が急増しているのだ。

 「画像やExcelデータなどでHMIの仕様を検討しているのが現状で、製品をある程度まで仕上げないと使い勝手を確認できない。快適性を高めるためには開発の後半で多くの仕様を変更せざるを得ず、期限に間に合わずに搭載を見送る機能も少なくない」。パナソニックで車載HMI開発を担当する遠藤正夫氏(同社オートモーティブ社HMIシステムズ事業部ディスプレイビジネスユニット第三商品部統括担当)が訴える。

 こうした困り事を解消するため、パナソニックは車載HMIを仮想空間で検証するVR(Virtual Reality)シミュレーターを開発し、2020年1月20日に報道陣に公開した(図1)。自動車の内装やHMIを手掛ける競合の自動車部品メーカーと戦う“武器”とする考えだ。

図1 パナソニックが開発下車載HMIを仮想空間で検証するVRシミュレーター
図1 パナソニックが開発下車載HMIを仮想空間で検証するVRシミュレーター
(撮影:日経Automotive)
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UIやUXを検証できるシミュレーターは限られる

 電気自動車(EV)ベンチャーの米テスラ(Tesla)や中国バイトン(Byton)のクルマに代表されるように、車載HMIの主役はディスプレーになりつつある。機械的なスイッチ類を大幅に減らし、シンプルで使い勝手のよい内装に仕上げた(図2)。大手自動車メーカーも追従する見込みで、パナソニックは「2024~25年には車載HMIが激変する」(同氏)と読む。従来の延長線上にないHMIの開発が加速しているのだ。

図2 TeslaのEV「モデル3」の内装
図2 TeslaのEV「モデル3」の内装
15型の液晶ディスプレーを中央に配置してシンプルに仕上げた。(出所:Tesla)
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 HMIが移行期を迎える今、課題になってるのが「UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を検証できるシミュレーターがなかった」(同氏)ことである。自動車開発におけるシミュレーター活用は、部品の搭載位置や熱対策、ノイズ対策などハードウエア開発が主流。HMIは新規の開発が増えてるにも関わらず、先述の通り画像やExcelデータによる性能検証が続いていた。

 パナソニックは今回開発したVRシミュレーターを単品で販売するのではなく、自動車メーカーとのHMIの共同開発を進める際に使用していく方針である。パナソニックによると、VRシミュレーターを使うことで「GUI(Graphical User Interface)開発において仕様変更を約30%削減できる」(同氏)という。

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