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 例えば、海風による塩害を受ける地域の橋梁は鉄筋が腐食しやすい。マトリックスでは損傷程度が右側に偏る「鉄筋の腐食先行型」の特徴が顕著になる。大型トラックの通行が頻繁な橋梁の場合は、振動が部材に影響を与えるため、マトリックス下側で確認される劣化が発生しやすい。データ解析などを担当した鹿児島大学学術研究院理工学域工学系の審良善和准教授は、「橋梁の設置場所、利用頻度などで劣化進行モデルを調整してマトリックスに適用した」と説明する。

塩害による劣化進行の一例
塩害による劣化進行の一例
海が近いと塩化物イオンが浸透し、鉄筋の腐食を生む。腐食で鉄筋の体積が増加し、コンクリートにひびが入る。最終的に剥離・剥落が発生する。 出典:鹿児島大学
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 このマトリックスを用いて、東京工業大学は将来的に発生する可能性が高い橋梁の補修コストを試算する。試算値を橋梁の修繕計画に用いれば、「緊急車両の通行に必須かなどの視点で橋梁に重み付け、補修の優先順位を決める議論に利用できる」(三菱電機先端技術総合研究所ソリューション技術部アーキテクチャ基盤グループの佐野恵美子主任研究員)という。

 三菱電機などはシステムの予測精度を向上させるため、薩摩川内市の他の自治体からも点検データを収集する予定だ。将来的には道路やトンネルなど橋梁以外の土木インフラ向けの技術開発も進める計画だ。