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 土木インフラの維持管理市場は、国内で5兆円規模に――。

 国土交通省は、土木インフラの点検、補修、設備管理などの潜在市場があると見込んでいる。市場規模の大きさは老朽インフラの増加という社会課題の表面化を示す。この難題に商機を見いだした1社が三菱電機。鹿児島大学や東京工業大学と共同で、部材の劣化状況を予測し、補修コストを推定する「土木インフラの維持管理支援システム」の開発を急いでいる。まずは、道と道とを結ぶ橋梁に開発の焦点を合わせた。

 三菱電機らが橋梁に目を付けた理由は、自治体による保全方法が変化してきたためだ。国交省は2007年度に「長寿命化修繕計画策定事業」を創設。自治体に対して橋梁を計画的に点検・修繕する「予防保全型修繕」の実施を促してきた。長期的な視点で見れば、劣化の進行後に大規模修繕を行う「事後保全型修繕」に比べてコストが安くなる。しかし、「補修すべき橋の優先順位を決める」といった長期計画の立案は、これまで事後保全型修繕を前提としてきた自治体には荷が重い。三菱電機らの狙いはこうした自治体の手間を省くことだ。

マトリックスで劣化状態を診断

 橋梁の維持管理計画を作成するには、劣化の進行を適切に判定する必要がある。そこで、三菱電機らは劣化診断の独自基準を考案した。点検時に確認される変状を発生要因ごとに、「劣化」「欠陥」「損傷」と分類。劣化は時間的な経過で変状が進行する状態、欠陥は土木工事などで発生した破損を指す。損傷は事故などを由来とする変状だ。

 鹿児島大学は経年劣化を高精度に予測できる「劣化進行マトリックス」を作成した。橋梁の構造をRC(鉄筋コンクリート)とPC(プレストレスト・コンクリート)に分け、RCで285橋、PCで253橋の劣化を解析。点検データは鹿児島県薩摩川内市が提供した。下図に示したマトリックスは鉄筋の腐食やコンクリートのひび割れの進行度合いを示す。実際の橋梁の劣化と比べ、強い相関関係がみられたという。

「劣化進行マトリックス」
「劣化進行マトリックス」
横軸が鉄筋、縦軸がコンクリートの劣化状況を示している。左上の青いマス(a,a)が目視などで劣化判定できない「潜伏期」「進展期」である。そこから鉄筋やコンクリートが劣化していくと、赤いマス(e,e側)へと遷移していく。マトリックスを利用すると、年数に応じてどうマスを移動するか予測できる。 出典:鹿児島大学
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