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 日産自動車のナンバー3にあたる副最高執行責任者(COO)だった関潤氏が日本電産に入社した。日本電産の会長兼CEO(最高経営責任者)である永守重信氏が、2020年1月23日に開いた決算会見で明かした(図1)。「関氏は既に入社しており、電気自動車(EV)向けの駆動モーターの大量生産を任せる」(永守氏)と語った。

図1 日本電産の会長兼CEOである永守重信氏
図1 日本電産の会長兼CEOである永守重信氏
決算会見で日産自動車から関氏を引き抜いた理由やEV用モーター事業の状況を説明した。(撮影:日経Automotive)
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 日本電産はEV向け駆動用モーター事業に注力しており、2030年までに同市場で35%の世界シェアを獲得することを目標に掲げている。現状は数%ながら、2025年までの受注の総量は1000万台分に達したという。

 永守氏は目下の心配事として、「ものづくりの課題が大きくなっている。駆動用モーターは人の命に関わる部品のため、品質をきっちり確保しながら大量生産できる体制に変更していかなければならない」と述べた。同社は小型モーターの実績は豊富だが、大型品の量産ノウハウが不足していた。

中国市場にも精通する関氏に白羽の矢

 EV用の大型モーターを大量生産するために「自動車の生産現場に精通した人材が必要」(同氏)と判断し、関氏に白羽の矢を立てた。関氏は日産時代、長くパワートレーンの生産技術部門を担当してきた(図2)。

図2 日産を退社して日本電産に入社した関潤氏
図2 日産を退社して日本電産に入社した関潤氏
写真は日産在籍時の2017年4月にインタビューしたときの様子。(撮影:日経Automotive)
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 日本電産が最も注力している中国市場にも詳しい。関氏は2013年から2018年まで中国に駐在し、日産の中国事業を統括してきた。日産の現地ブランド「Venucia」でEVを投入するために、部品のコスト低減に取り組んだ経験もある。

 2017年4月に日経Automotiveが関氏に取材した際には「部品の現地調達率でほぼ100%を狙っていくため、地場のサプライヤーの開拓を進めた」と語っており、中国での人脈も広い。

 EV向けのパワートレーンを巡っては、モーターやインバーター、減速機を一体化した電動駆動システム「e-Axle」が主流になりつつある。多くの1次部品メーカー(ティア1)が参入し、自動車メーカーの中には内製する企業もある。

 高効率や小型化などを競争軸とするメーカーが多い中で、日本電産の永守氏は品質を確保した上で、「結局はコスト」と明快だ。HDD用の小型モーター市場で世界シェア80%を握った成功体験から導き出した「性能で勝っていると言っているメーカーは必ず負ける」(同氏)という考えを、EV用のモーターでも踏襲する。