全3888文字
PR

 「空飛ぶクルマ(Flying Car)」と呼ばれるような電動の垂直離着陸(eVTOL)機を手掛ける米国の新興企業Joby Aviationが、一躍して空のモビリティー業界の「期待の星」になった。2020年1月15日(現地時間)、同社は、トヨタ自動車をリードインベスターとする「シリーズC」の投資ラウンドで、新たに総額5億9000万米ドル(約644億円)を調達したことを発表。このうち、トヨタ自動車が3億9400万米ドル(約430億円)を投じる(関連記事)。Jobyはこれまでの出資と合わせて、総額で7億2000万米ドルを調達したという。調達額を公開しているeVTOL機の新興企業の中で、「ダントツ」に多い金額である。

 これまで、eVTOL機ベンチャーの調達額は多くても100億円台だっただけに、eVTOL機による「エアタクシー」や「空のライドシェア」といったモビリティーサービスの実現を目指す企業や同機のメーカーなどから、同サービスの実現を促す企業になると期待されている。何より、トヨタ自動車という自動車業界の大手が出資し、協業体制を築くと宣言したことが、その期待を否が応でも高めた。空のライドシェアを実現する上でハードルの1つは、eVTOL機を大量に、かつ低コストに製造すること。そのために、航空機業界は大量生産に長けた自動車業界の協力が不可欠とみている。それだけにJobyのみならず、空のモビリティー業界はもろ手を挙げてトヨタ自動車を迎え入れた。

 Jobyの創業者でCEOのジョーベン・ビバート(JoeBen Bevirt)氏は、ヘリコプターを含めた、垂直離着陸機業界ではよく知られた人物である。そんな同氏が、前述のシリーズCの調達発表からおよそ1週間後、2020年1月21~23日に開催された垂直離着陸機のイベント「Transformative Vertical Flight 2020」に登壇し、これまでの開発経緯や今後の方針などついて明かした。発表から初めて公の場に現れただけに、講演後、多くの来場者がビバート氏と話そうと押し掛けた。本記事では、講演の内容を基に、Joby Aviationのこれまでと、これからを明らかにする。

Transformative Vertical Flight 2020で講演するビバート氏(撮影:日経クロステック)
Transformative Vertical Flight 2020で講演するビバート氏(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]