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 「ようやく話ができる時期に来た」。PayPay 社長執行役員CEO(最高経営責任者)の中山一郎氏は2020年1月17日、「40%還元キャンペーン」の記者説明会でこう語り、新たに金融サービスを始める方針を打ち出した。

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 計画しているのは個人向けローン、ビジネスローン、後払い(リボ払い)、投資、保険の5種類。これらの機能を「ミニアプリ」として実装する。2020年に順次提供する方針で「スマートフォン決済に近いものから提供し、広げていく」(中山氏)。今春にも第1弾のサービスが登場する見込みだが、理想的なラインアップにできるか不安も残る。

 「『Alipay』の戦略を可能な限りなぞろうとしているのではないか」。あるFinTech関係者は、PayPayについてこう分析する。両者は共にEC(電子商取引)関連事業を一つの源流にしており、立ち位置は重なる。PayPayがAlipayのようなスーパーアプリに発展する鍵を握るのは、投資と個人向けローンおよび後払いだ。

 Alipayは、個人資産運用サービス「余額宝」によって一気に普及した。Alipayの残高を手軽に運用できることが消費者の心をつかみ、身近な生活資金を現金ではなくAlipayの残高で持たせることに成功したわけだ。

 PayPayも同様のユーザー体験を目指す公算が大きいが、両者の事情は異なる。当初、余額宝は国有銀行預金や国債など比較的安定した金融商品に投資しながらも高い利回りを達成していた。しかし、同じことが今の日本で再現できるかは不透明。いかなる投資サービスに仕立てられるかPayPayの手腕が問われる。

 個人向けローンや後払いは、PayPayの事業モデルに関わる。同社はユーザーや加盟店獲得のため、大規模な先行投資を続けている。投資を回収して持続性のある事業モデルを構築するには「ここで、もうける必要がある」(前出のFinTech関係者)。ECでの購入時に利用できるようにすれば、EC事業の売上促進につなげることも可能だ。

 ただし、ここにもAlipayを踏襲できない事情が潜む。個人向けローンなどの後押しとなる信用スコアについて、中山氏は「現時点では考えていない」と明言した。慎重な言葉の裏には、ヤフーが2019年7月に始めて大きな批判を浴びた「Yahoo! スコア」での失策があるとみられる。