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 毎年3月に米テキサス州オースティンで開催される「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」は、今や世界のビジネスパーソンが注目するテクノロジーカンファレンスです。2020年は3月13日~22日に開催されます。以前の記事で初めて参加する方に向けたポイントを紹介しました。

 前回は、視察をメインにSXSWに参加する人を想定していましたが、できるならば「エキシビション」と呼ばれるSXSW内の展示会にブースを出展することを勧めます。自社のプロダクトを世界に向けて売り込んだり、来場者からのフィードバックを得たりするのです。実際、ブースを出展する日本企業は増えています。筆者も2015年から5年連続でSXSWに参加しており、そのうち3回、ブースを出展しました。

SXSWの中心となる「Austin Convention Center」
SXSWの中心となる「Austin Convention Center」
(撮影:佐々木 哲也、以下同じ)
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筆者のチームが出展したブース。いかに短い時間でPRできるかが勝負
筆者のチームが出展したブース。いかに短い時間でPRできるかが勝負
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 「当社は視察だけで十分」と考えている人にも、ブースの出展を勧めます。2020年3月に出展するのは今からでは難しいかもしれませんが、企画中のプロダクトやプロジェクトがあるならば、2021年の出展を目指してみてはどうでしょうか。想定していなかった新しい展開はもちろん、かなり具体的な改善のアイデアに至るまで、視察だけでは得られないフィードバックを得られます。

変化に敏感な人から知恵をもらえる

 想像してみてください。SXSWには世界中から変化に敏感な人たち、未来を創ろうと広い視野で物事を考えている人たちが集まっています。その人たちから、自分のアイデアに対してフィードバックや知恵をもらえるのです。そんな機会はつくろうとしてもつくれるものではありません。とても価値があると思いませんか。

 前回の記事でも、SXSWではインタラクティブ性を重視していると伝えました。情報を得るだけではなく、自分のプロダクトを発信してフィードバックを得ようとしている参加者こそ歓迎されるムードがSXSWにはあります。

 こうしたムードこそ、母体が音楽フェスティバルであるSXSWが持つ独特の雰囲気なのです。展示会というよりもお祭り、参加者というよりも巨大なコミュニティーの一員、といった表現が合うカンファレンスなのです。

母体が音楽フェスティバルのため、期間中は様々な音楽イベントが開催される。写真はグラミー賞を主催するレコーディングアカデミーの招待制ブロックパーティー
母体が音楽フェスティバルのため、期間中は様々な音楽イベントが開催される。写真はグラミー賞を主催するレコーディングアカデミーの招待制ブロックパーティー
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 SXSWでは、職業や立場が大きく異なる人たちから、それぞれの観点でフィードバックしてもらえます。国内だけ、ましてや社内だけで得られる改善アイデアとは全く違います。

 筆者の経験だけでも、テクノロジー企業の創業者、世界有数の大学の研究者、個人や組織に所属するクリエーター、米大手デパートのバイヤー、ミュージシャンやアーティスト、医師や政治家など、様々な人がブースに来ました。マーケットや技術分野別に開かれる展示会や見本市は、国内外に無数にありますが、SXSWほど世界中から多様なジャンルの参加者が集うイベントはなかなかありません。

出展料金は数十万円から数千万円?

 ブースを出展する形態は複数あります。一般的なのは、最も多くの参加者が集まる「トレードショー」と呼ばれる展示会への出展です。多くの展示会と同様、展示スペースの広さに応じて出展料金が変わります。

 最小のサイズは「10×10」と呼ばれ、約3メートル四方のスペースです。この場合の料金は3600ドル(約40万円)。国内で開かれる展示会とそう変わらない料金ではないでしょうか。

 ブースの出展者には、全てのセッションとイベントに優先的に参加できる「PLATINUM」のバッジが1枚付与されます。出展しながら多くのセッションに参加できるわけです。ちなみにPLATINUMバッジを単体で購入する場合の価格は13万~18万円(購入時期によって金額が異なる)です。

 展示会でのブース出展の他、オースティンの町中にあるレストランなどの店舗を丸ごと借りてブースにする出展形式も存在します。日本企業でもソニーやパナソニック、海外企業では米アクセンチュア(Accenture)や米フェイスブック(Facebook)、米グーグル(Google)などがこの形式で出展しています。企業だけではなく、政府機関が出すケースもあります。

独ダイムラーが家を1軒借り切って出展した「メルセデス・ベンツ・ハウス」
独ダイムラーが家を1軒借り切って出展した「メルセデス・ベンツ・ハウス」
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 店舗を借りる場合、出展費用はトレードショーのブースとは桁違いになります。どれだけ凝った装飾にするのか、特殊な機材や設備を導入するのか、といったことによって変わってきます。聞くところによると、数千万円といった金額になることもあるそうです。

 そこまで費用を投じる理由は、世界中のメディアに知ってもらえる可能性があるからでしょう。SXSWには、世界中から4000人を超えるメディア関係者が参加します。