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 米IT大手の2019年10~12月決算が出そろった。米グーグル(Google)の持ち株会社である米アルファベットが今回初めてGoogle Cloudの売上高を公開したことから、米マイクロソフト、米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)という大手3社のクラウド事業がようやく比較可能になった。気になる数字を見ていこう。

米IT大手のクラウド事業売上高(カッコ内は前年同期比増減率)
企業名売上高
マイクロソフトの「法人向けクラウド」125億ドル(39%)
アマゾン・ウェブ・サービス99億5400万ドル(34%)
アルファベットの「Google Cloud」26億1400万ドル(53%)

 アルファベットのクラウド事業であるGoogle Cloudの2019年10~12月期の売上高は26億1400万ドルで前年同期比53%増加した。Google Cloudには「G Suite」などのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「Google Cloud Platform」が含まれる。

 グーグルに加えて2019年12月からアルファベットのCEO(最高経営責任者)も兼ねることになったスンダー・ピチャイCEOは決算発表のカンファレンスコールで「人工知能(AI)やクラウドコンピューティングなどへの投資が、アルファベットに継続的な成長と新しい機会に向けた強い基盤をもたらしている。検索および新しい2つの領域における継続的な進歩を本当にうれしく思っている。2つの領域とは、年間約150億ドルの広告収入があるYouTubeと、年間売上高ランレートが今や100億ドルのクラウド事業だ」と述べている。2019年1~12月の通年でみるとGoogle Cloudの売上高は89億1800万ドルだったが、2020年の通年では同事業の売上高が100億ドルを突破しそうだ。

 クラウド売上高の首位はマイクロソフトだった。同社はIaaS/PaaSであるMicrosoft Azureと、SaaSであるOffice 365やDynamics CRM、「LinkedIn」の売上高などを合算した法人向けクラウド(コマーシャルクラウド)の売上高を公表している。その売上高は前年同期比39%増の125億ドル。同社のサティア・ナデラCEOは「我々はどのクラウド事業者よりも多くの地域にデータセンターを持っており、イスラエルとカタールにも設置する予定だ」と強気の姿勢を示した。

 AWSの売上高は同34%増の99億5400万ドルで、営業利益は同19%増の25億9600万ドルだった。米IBMもクラウド売上高が前年同期比21%増の68億ドルになったと公表しているが、IBMのクラウド売上高にはプライベートクラウドに関する数字が含まれているため、他社と直接比較するのは難しい。

 続いて各社の売上高を見ていこう。

米IT大手の2019年10~12月期決算(カッコ内は前年同期比増減率)
*1:AWSは営業利益
企業名売上高純利益*1
アップル918億1900万ドル(8.9%)222億3600万ドル(11.3%)
アマゾン・ドット・コム874億3700万ドル(20.7%)32億6800万ドル(7.9%)
(うちAWS)99億5400万ドル(33.9%)25億9600万ドル(19.2%)
アルファベット460億7500万ドル(17.3%)106億7100万ドル(19.2%)
マイクロソフト369億600万ドル(13.6%)116億4900万ドル(38.3%)
IBM217億7700万ドル(0.07%)36億7000万ドル(88.1%)
フェイスブック210億8200万ドル(24.6%)73億4900万ドル(6.7%)
インテル202億900万ドル(8.3%)69億500万ドル(32.9%)
AMD21億2700万ドル(49.8%)1億7000万ドル(447.3%)