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 銀行向けITサービス事業を手掛けるIT大手の勢力図に異変の兆しが漂っている。SBIホールディングス(HD)が出資する地方銀行連合が勘定系システムの共同化を検討しているからだ。

 SBIHDは「住信SBIネット銀行が開発中の次期勘定系システムを、地銀連合が共用する形を目指している」(関係者)。同システムは日立製作所が手掛けており、構想が実現すれば日立のシステムを利用する銀行が増えることになり、日立は銀行向けビジネスを拡大する好機を迎えているともいえる。

非「共同化」地銀の巻き取りへ

 SBIHDは「地銀連合構想」を掲げ、島根銀行や福島銀行、筑邦銀行への出資を決めた。これらの地銀は経費率が高く、少子高齢化や過疎化などの影響で経営改革を迫られている。

 例えば島根銀は本業の稼ぐ力を示す「コア業務純益」が2019年3月期まで3期連続の赤字で、経費率は100%を超える。福島銀や筑邦銀も経費率は80~90%台だ。

 特に地銀に重くのしかかっているのが、勘定系システムの維持コストだ。地銀のIT関連予算は上位行で年100億円規模。下位行でも年20億~30億円はかかる。

 そのうち最大半分ほどを勘定系システムの維持コストが占めるとされる。法制度対応や情報セキュリティー対策などに一定の新規コストがかかり続けるため、下位行ほど負担が重い。

 島根銀は勘定系システムの開発や運用・保守を日本IBMにアウトソーシングしているものの、他行と共同化していない。福島銀も勘定系システムの共同化に踏み切れていない。

 非共同化を続ける地銀が住信SBIネット銀や他の地銀と勘定系システムを共同化できれば、IT関連コストを大幅に減らせる。経費率を下げて収益を改善するという経営再建シナリオも現実味を帯びてくる。