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接触確認アプリ、本当に使う?~公益のための個人データ活用とは 6/8 18時

 NTT東日本は2020年2月中旬、山梨県小菅村でIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用する実証実験を始めた。2020年9月末まで実施する。小菅村は村の総面積が95%が山林になっている。複雑な地形の山間部は電波が飛びにくいが、一般的なIoT通信規格であるLoRa方式のLPWAを拡張した技術を採用することによって、山間部の全域をカバーできるようにする。

 小菅村は多摩川の源流付近に位置する、人口約700人の自治体だ。林業が主要産業の1つになっている。

 LPWAによる通信をこの林業の2つの目的に利用する。

 1つの目的は、林業従事者の緊急連絡用だ。林野庁の調べによると、林業の死亡事故の55%は伐採作業中に発生している。巨木を根元から切り倒すこと自体の危険性に加え、作業場所である森林は第4世代移動通信システム(4G)の携帯電話が圏外であることが多く、万一事故が発生してもすぐに救助を呼べないことが一因になっている。そこで、通信速度は低くても「人件費を含めても数百万円程度」(NTT東日本の酒井大雅経営企画部営業戦略推進室担当部長)と低価格で敷設できるLPWAに着目した。

 もう1つの目的がシカなどの害獣対策だ。伐採後のエリアには将来に向けて新たな苗木を手作業で植えていくが、そうした苗木をシカに食べられる被害が多い。林野庁によると、害獣の被害を受けている森林は全国で年間6000ヘクタールほどあり、その7割ほどがシカによるものという。「せっかく植えてもシカに食べられ、気力を失ってしまう人もいる」(酒井担当部長)。

 今回の実証実験では、山間部をカバーするためにLPWAサービスを展開するフォレストシーの技術「里山通信」を採用した。LPWAの主要な通信方式の1つであるLoRaをベースとしつつ、2つの機能拡張を施しているのが特徴だ。1つは出力を上げること。一般的なLPWAは免許が不要な20ミリワット程度の出力で構築することが多い。

 平野部ならばそれでも半径数百メートルから1キロメートル弱までカバーできることが多いが、地形や森林などが天然の遮蔽物となる山間部では難しい。そこで今回は出力を250ミリワットまで高めている。総務省への届け出が必要になるものの、山間部をカバーするという目的には適しているとの判断だ。