全1417文字
PR

 重篤な肺炎をもたらし得る新型コロナウイルス感染症(以下、新型肺炎)。中国政府の発表によれば、2020年2月16日日午前0時(日本時間同1時)時点での中国国内の累計感染者数は6万8500人に、死者は1665人に達した。感染は世界に広がっており、日本の感染者数は50人を超えた。現時点(同年2月17日執筆時)では新型肺炎の終息時期を見通せない状況だ。

 事態は日々深刻化している。これに伴い、2月に入ってから新型肺炎の問題が日本の製造業に影響をもたらし始めた。1つは中国における生産で、もう1つは日本における生産だ。

* 2019年末に中国湖北省武漢市で発生した、発熱や上気道症状を引き起こすウイルス。正式名称は「COVID-19」。飛沫感染か接触感染によって人から人に感染する。感染力については現時点(2020年2月17日執筆時)では分かっていない。潜伏期間は1~12.5日(多くは5~6日)と言われている。このウイルスに有効な抗ウイルス薬は現時点では存在せず、対症療法を行う。

 中国では今、現地当局が通達を出しており、日本企業はその指示に従って動いている。「部品の取引先や従業員の規模、防疫体制など」(日立建機)に関して基準を満たしている工場だけに再稼働を認可する考えだ。ところが、省や市によって許可する期日が異なる上に、現地当局の認可作業に時間がかかっているケースがあり、日本企業によって生産再開の日程に大きな開きが生じている(表1)。

表1 大手国内製造業の中国現地工場の稼働状況
2月17日現在のヒアリング状況(作成:日経クロステック)
表1 大手国内製造業の中国現地工場の稼働状況
[画像のクリックで拡大表示]

 比較的早く生産再開にこぎつけたのがソニーだ。中国にある4工場の全てを同年2月10日に再稼働した。オムロンも同日に中国の4工場のうち3工場で生産を再開している。

 自動車メーカーでは、トヨタ自動車が2月17日に4工場のうち2工場の再稼働に踏み切った。マツダも同日に南京市の工場の生産を再開した。ただし、両社共に状況を見ながら、通常の半分程度の生産台数に絞っている。

 新型肺炎の震源地となった武漢市に3つの工場を構えるホンダは、新型肺炎の影響をもろに受けている。事業再開の許可日が現地当局によって先延ばしされ続けた結果、2月24日の週に再稼働する計画となった(広州市の工場は同月17日に部分的に生産を再開)。ただし、当局次第で再延期となる可能性は払拭できない。三菱自動車では長沙市の工場が同月27日以降の再稼働になる予定だ。

 生産再開のめどが立っていない日立建機のような企業もある。現地当局から再稼働の条件を提示され、同社は生産再開の準備を進めているものの、現地当局の認可がまだ下りていないという。