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 従来、その重要性の割にはスポットライトが当たることが少ないデバイスだった弾性波フィルターが、にわかに注目度を高めている。弾性波フィルターは送受信する電波の周波数をバンドごとに規定するもので、スマートフォンなどの無線通信を司る基幹部品の1つである。バルク波(BAW)フィルターと弾性表面波(SAW)フィルターの2種類がある。

 BAWフィルターは昨今の米中貿易摩擦の渦中のデバイスとなり、注目されている(関連記事1関連記事2)。さらに、BAWフィルターの売上高が急成長し、その最大手である米BroadcomがMEMSの売上ランキングで王者のドイツRobert Boschを追い越して、2017年と2018年と首位を獲得したことが大きな話題になった(関連記事)。

 一方、SAWフィルターは、技術的にはかなり前に成熟し、BAWフィルターの陰に隠れて話題に上ることも少なかったが、最近になって新技術の開発ブームに沸いている。米Qualcommは2020年2月18日,BAWフィルターより性能が優れるとするSAWフィルター「ultraSAW」を発表している(図1)。

図1 Qualcommが2020年2月18日に発表したSAWフィルター「ultraSAW」の構造
図1 Qualcommが2020年2月18日に発表したSAWフィルター「ultraSAW」の構造
(図:Qualcomm)
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