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リモート治験の壁は?

 国土の広い米国では医療機関に通うのに時間がかかり、患者の負担になることが課題とされており、既にリモート治験が実施されている。製薬企業は日本でもリモート治験を実施したい考えだが、まだ実績はない。「国内でも実施可能な環境になりつつある。2020年は国内でも幾つかリモート治験が実施されるとみている」とシミックの企画推進本部の山東崇紀氏は展望する。

 これまで国内でリモート治験を実施する際の壁とみられていたのは、(1)規制の他に、(2)リモート治験で利用できそうな測定用の医療機器が少ないこと、(3)被験者が本人であることを担保する方法がないことなどだった。

 このうち(1)の規制に関しては2019年6月に開催されたオンライン診療の指針の見直しに関する検討会で、治験などで利用する場合は対面診療と同様に患者から同意を得ることなどが確認された。このため「リモート治験は禁止されていないと我々は考えている」と山東氏は話す。

 治験薬の個人宅への輸送も難しいと考えられていた。これに対してシミックなどは2019年12月に改正された医薬品医療機器等法によってオンライン服薬指導が解禁されることが追い風になるとみる。「治験ごとの判断になりそうだが、来院せずとも治験薬を受け取るスキームを構築できると考えている」と山東氏は話す。

 (2)の測定用の医療機器については、現時点で体温計や血圧計、脳波計などに限られるが、今後利用できる医療機器が増加しそうだ。測定に使うウエアラブル端末の臨床研究が複数実施されており、実用化が期待されている。

 (3)の本人確認については、海外では医師と患者の信頼関係に基づいて実施している。山東氏は「なりすましを回避する技術を持つ企業との議論を始めた。1~2年でサービスに生かしたい」と明かす。

 今後国内でもリモート治験が根付いていくか。リモート治験に関するサービスを提供する企業は、製薬企業や医療機関、患者の懸念を払拭しながら1歩ずつ着実に進めていくことが求められそうだ。