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 いつもの街をテーマパークに――。そんなコンセプトを掲げてNECなど6組織がデジタル技術をてこにした地方創生ビジネスに乗り出した。政府は2020年に訪日外国人の旅行消費額として8兆円、日本人の国内旅行消費額として21兆円の目標を掲げている。

 こうしたなか、文化遺産や観光名所の集客力を高めることによる地域活性化を狙い、NECらは2020年2月4日に「SSMRビジネス推進コンソーシアム」を設立した。神社仏閣などの観光名所内の彫像などが語りかけてくるような音響効果を演出する独自技術と「技術使用料ゼロ」のビジネスモデルが強みだ。5億円規模まで成長する可能性もある。

音源を「空間」に固定

 同コンソーシアムの中核技術は「空間音響MR(Space Sound Mixed Reality、SSMR)」サービスと呼ぶ。音源を空間に仮想的に固定する「音響定位技術」とAR(拡張現実)技術を組み合わせた新サービスである。前者の音響定位技術はNECの独自技術で、顔の向きや移動方向に関係なく音源を任意の位置に固定できるというものだ。

 サービス提供に当たり、コンソーシアムは顔の向きや移動情報などを検出する9軸モーションセンサーを搭載する「ヒアラブルデバイス(無線イヤホン)」を用いることにした。さらに、スマホにAR映像を映し出すことにより、現実世界と仮想空間が高度に融合したMR(複合現実)体験を提供する。同サービスの第1弾として2月10日から3月21日まで香川県善通寺で実証実験に取り組んでいる。

香川県善通寺でのサービス実証のイメージ
香川県善通寺でのサービス実証のイメージ
(出所:NEC)
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サービス運営までに踏み込む

 独自のMR技術もさりながら、コンソーシアムの運用方式も要注目だ。コンソーシアムが提供する機能を5つに分類し、それぞれの分野を得意とする企業が運用するようにした。

 具体的な機能は「プラットフォーム」「サービス運営」「コンテンツ(調達など)」「ロケーション(エリア開拓など)」「アプリケーション(制作など)」である。これらについて、例えばサービス運営はファンクラブ運営支援のル・スポールが、アプリケーションは映像制作のフレッシュハーツがそれぞれ担当する。コンソーシアムは空間音響MRのプラットフォーム提供からサービス運営までを手掛ける、いわば仮想企業体と言える。

空間音響MR(SSMR)サービスの構成要素
空間音響MR(SSMR)サービスの構成要素
(出所:NEC)
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 これまで「ヒアラブルデバイス」を使うビジネスは、ロケーションやアプリケーションを施設の運営主体などにお願いしてきたという。これに対し、今回は仮想企業体を作り上げた。

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