⽇⽴オートモティブシステムズは、遠⽅と近距離の両⽅の障害物検知に対応した次世代ステレオカメラを開発した。同カメラを⾃動ブレーキ⽤のセンサーに使うと、交差点の右左折時における⾞両や⾃転⾞、歩⾏者に対応できる。
同社のステレオカメラは現在、SUBARU(スバル)やスズキの先進運転支援システム(ADAS)用センサーに採用されている。スバルの「アイサイト」で使うカメラは基線長(左右のレンズ間距離)が350mm、スズキの「セーフティサポート」で使うカメラは基線長が160mmであり、スズキが採用するカメラの方がスバルが採用するカメラより寸法が小さい。
今回の次世代ステレオカメラは、スズキの小型車「ソリオ」や軽自動車「ハスラー」など5車種に採用されている第2世代の新型ステレオカメラをベースにして開発した(図1)。
次世代ステレオは新型カメラよりも検知距離を伸ばしながら、3倍以上の広角化を実現した。大きさや質量は新型カメラとほぼ同じで、コストも新型カメラと同水準に抑えた注)。
コストを抑えながら遠方検知と広角化を両立したことで次世代ステレオカメラは、交差点対応の自動ブレーキ用センサーとして、軽自動車や小型車にも採用しやすい利点がある(図2)。
自動ブレーキを交差点の右左折に対応させるには、前方を監視するカメラに100度以上の水平視野角が必要になる。スズキのソリオやハスラーなどに搭載されている新型ステレオカメラは水平視野角が40度であり、このままでは交差点に対応できない。
ただ、交差点に対応するためにカメラのレンズを100度以上の広角にするだけでは、検知距離が短くなる課題がある。検知距離が短くなると、同じカメラでACC(先行車追従)などを実現するのが難しくなる。ACCでは100m以上の検知距離が必要とされる。
レンズを広角化しながら検知距離を維持するには、カメラのCMOSセンサーの画素数(解像度)を上げる方法がある。ただ、100m以上の検知距離を維持するには、画素数を約800万画素まで高める必要があるという。
CMOSセンサーの画素数を上げると処理すべきデータ量が増え、画像処理チップ(SoC)の処理速度を高める必要がある。カメラのコストが高くなり、小型車や軽自動車への搭載が難しくなる。