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 「テクノロジーが進化しすぎて、企業が活用しようとしても消費者が否定的に反応する『テッククラッシュ』の問題が顕在化しつつある」――。

 世界IT大手のアクセンチュア(Accenture)でCTO(最高技術責任者)とCIO(最高イノベーション責任者)を兼務するポール・ドーアティ氏は、アクセンチュア日本法人が2020年2月20日に開いたIT技術の動向に関する年次調査リポート「テクノロジービジョン」2020年版の発表会において、企業のデジタル活用に関してこう警鐘を鳴らした。「企業が消費者から信頼を得る『トラスト(信用・信頼)』が重要なキーワードとして浮上している」(ドーアティCTO)。

欧州アクセンチュアでCTO(最高技術責任者)兼CIO(最高イノベーション責任者)を務めるポール・ドーアティ氏
欧州アクセンチュアでCTO(最高技術責任者)兼CIO(最高イノベーション責任者)を務めるポール・ドーアティ氏
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5つの技術トレンドの前提となる「トラスト」

 アクセンチュア本社がテクノロジービジョンをまとめるのは今回で20回目となる。顧客企業向けに技術の指針を示すとともに、自社の戦略や組織再編の指針としても活用してきた。2020年版の作成に当たって、日本を含む世界各国の企業・組織の上級役職者やIT担当役員6000人以上を対象に調査した。

 登壇したドーアティCTOは「トラスト」を2020年版の最重要キーワードとして挙げた。今後3年間で押さえるべき技術トレンドは5つあるという。具体的には「体験の中の私」「AI(人工知能)と私」「スマート・シングスのジレンマ」「解き放たれるロボット」「イノベーションのDNA」である。これらの実現の前提となるのがトラストという位置付けだ。

「テクノロジービジョン」2020年版で挙げた5つの技術トレンド
「テクノロジービジョン」2020年版で挙げた5つの技術トレンド
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 例えば1つ目の「体験の中の私」とは、医療や通信、小売りなどの異業種が連携して、1人ひとりの顧客に合わせた最適な顧客体験を提供する動きを指す。「日本では楽天が通信事業を強化して既存の小売りと連携させようとしている。これは典型的な動きだ」(ドーアティCTO)。

 ここで実現の鍵を握るのがトラストだ。消費者が企業を信頼しなければ、企業はより多くの情報を得られず、充実した顧客体験を提供できないとした。

 例えば米国ではアマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が顧客の不在時に自宅の鍵を開けて宅内まで配達する「Amazon Key」というサービスを提供している。これは技術だけでは実現できず、「アマゾンが米国で多くの消費者から得ているトラストを前提としている。トラストを確立すれば差異化の要因になる」(同)とした。

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