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 スーパーやディスカウント店を全国で展開するトライアルホールディングス(トライアルHD)は2020年2月25日、サントリーホールディングスや日本ハムなど5社と協業し、人工知能(AI)やビッグデータ解析を駆使した流通プラットフォームを構築すると発表した。目指すはデジタル戦略を米アマゾンと激しく競う、あの流通大手だ。

プロジェクトの開始を発表した、トライアルホールディングス子会社Retail AIの永田洋幸社長(左端)と参加企業5社の代表者
プロジェクトの開始を発表した、トライアルホールディングス子会社Retail AIの永田洋幸社長(左端)と参加企業5社の代表者
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 AI搭載カメラやセンサーといったデジタル技術を駆使して売り場から物流までのプロセスを刷新し、商品の売り上げ増や流通効率化につながるAIの活用法を確立する。まず「TRIAL」の既存店である長沼店(千葉県千葉市)を改装し、約200台のAIカメラを店内にくまなく設置する。次世代型店舗として同店を2020年4月24日に再オープンし、データ分析に着手する予定だ。

 トライアルHDの全額出資子会社Retail AIがデータ分析を担う。プロジェクトを指揮するRetail AIの永田洋幸社長は、「消費者に最も近い売り場をデジタルで見える化できれば、EC(電子商取引)では実現できない付加価値を小売業が獲得できる」と力を込める。

 デジタル戦略の手本であり、将来はライバルにもなる存在として永田社長が名前を挙げるのが、デジタル戦略の強化により米アマゾン・ドット・コムによる浸食を食い止めつつある米ウォルマートだ。ネットで注文し店舗で受け取るモデルで店舗の役割を復活させたウォルマートは、約3000人のデジタル人材を確保しているとされる。

 ウォルマートはAIを駆使した店舗のオペレーション改革にも取り組んでおり、トライアルが目指す次世代リテールで先行する存在だ。デジタル人材の人数や投資余力でウォルマートに劣るトライアルは、業界横断の協業モデルに活路を求める。

物流・小売りは「競争よりも協調する領域」

 今回のプロジェクトには、サントリーホールディングス傘下で酒類販売を手掛けるサントリー酒類と日本ハムのメーカー2社に加え、低温食品の卸流通である日本アクセス、冷凍冷蔵トラック輸送に強いムロオ、業務用の冷凍冷蔵ケースなどを製造販売するフクシマガリレイが参加する。