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 日立製作所は2020年3月3日、株式や投資信託の開示書類を解析するAI(人工知能)技術を開発したと発表した。金融情報サービス企業のQUICKに導入し、2020年5月から本格運用を始める。最終的に、開示された書類を解析してデータベースに登録するまでの最長リードタイムを従来の6分の1に、解析にかかる工数を3分の2に減らすことを目指す。

抽出結果をQUICKの担当者が確認する際の画面イメージ。本文(中央)の赤くハイライトした箇所から「運用方針」(右)の記述を抽出している
抽出結果をQUICKの担当者が確認する際の画面イメージ。本文(中央)の赤くハイライトした箇所から「運用方針」(右)の記述を抽出している
(出所:日立製作所)
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 例えば投資信託の有価証券届出書のテキストデータから、自然言語処理で「運用のベンチマーク」「為替ヘッジの有無」「手数料」など約130項目の情報を自動的に抽出する。

 これらの開示書類はXBRL(eXtensible Business Reporting Language)形式で記述されているが、抽出対象の項目はXBRLのタグ情報からは取り出せず、文章を読み解いて見つけ出す必要がある。従来は毎月1000件近い開示書類から3~4人のベテラン職員を中心に目視で情報を抽出し、ダブルチェックのうえデータベースに入力していた。この結果「重要な開示書類でデータベース登録まで数日、案件によっては半年かかるものもあった」とQUICKの渋谷淳ナレッジ開発本部長は語る。

 AI技術の採用により抽出・チェック・入力の作業負荷を軽くできると見込む。最終的にはAIの精度を高めることで、3人体制から2人体制への移行を目指す。現在は最長6カ月かかっているデータベース登録までのリードタイムも段階的に縮め、1カ月以内を目指す。「人件費の削減だけではなく、暗黙知の明文化による業務の継続性向上など、数字には表れない利点も踏まえて導入を決めた」(渋谷本部長)